交通事故で骨折してしまった場合の慰謝料相場と残る可能性のある後遺障害
歩行者や自転車、バイクで交通事故に遭った場合には、骨折してしまうこともあります。骨折してしまった場合には、むち打ち等と比べ、治療期間も長くなる傾向にありますし、骨癒合の状況によっては重篤な後遺障害が残ってしまうこともあります。
この記事では
- 交通事故で骨折してしまった場合の治療期間の目安
- 交通事故で骨折してしまった場合にもらえる慰謝料の相場
- 骨折した場合に残る可能性のある後遺障害
- 骨折した場合に慰謝料以外に請求できる賠償項目
- 交通事故で骨折してしまった場合にやるべき2つのこと
について解説しています。
この記事を読めば、交通事故で骨折してしまった場合の疑問が解消できるでしょう
目次
交通事故で骨折してしまった場合の治療期間の目安
骨折してしまった場合には、
- 手術ないし固定
- 仮骨の形成
- 骨癒合
- リハビリ
など、ケースによって異なりますが、事故前の日常生活に戻るために半年以上かかるケースも多いです。
目安としては、指などの小さい骨の骨折の場合には3か月から半年程度、足や腕の骨などの大きな骨の骨折の場合には半年以上かかっているケースが多いですがあくまで目安ですので、実際の通院については主治医と相談して行ってください。
交通事故で骨折した場合にもらえる慰謝料の相場
交通事故で骨折してしまった場合には、骨折して入通院したことに対する慰謝料である傷害慰謝料と、治療を続けたけれども後遺障害が残ってしまったことに対する後遺障害慰謝料の2種類の慰謝料を請求することができます。
そして各慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの計算基準があります。
傷害慰謝料
これは、骨折して入院、通院したことに対する慰謝料のことです。
自賠責基準
自賠責基準の傷害慰謝料は、①入通院期間、②入通院回数の2倍を比べて、どちらか低い方に4300円をかけた金額が慰謝料の金額となります。
式) ①or②×4300円
例えば、骨折して半年間(180日間)通院し、通院回数が40回の場合には、①180>②80となるため、②80×4300円=34万4000円が自賠責基準の慰謝料の金額となります。
任意保険基準
任意保険基準は、各保険会社によって金額が異なりますし、公表もされていませんが、一般的には自賠責基準よりは多少高額で、弁護士基準よりは低い金額に設定されています。
弁護士基準
弁護士基準は、訴訟提起した場合に裁判所が認定する金額でもあるので裁判基準ともいわれます。
これは、基本的には入通院期間に応じ、下記の表を用いて計算することになります。なお、骨折等他覚所見がある場合には別表Ⅰを、他覚所見がないむち打ち等の場合には別表Ⅱを用います。
なお、骨折して1か月入院し、その後4か月間通院した場合の慰謝料は、130万円となります。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、骨折に対して治療を続けたけれども、後遺障害が残ったことに対する慰謝料のことです。
これは、自賠責保険から認定された後遺障害等級に応じて請求できる金額が決まってきます。
弁護士基準の後遺障害慰謝料の金額は以下の通りです。
交通事故で骨折した場合に残る可能性のある後遺障害
この章では、骨折した場合に残ってしまう可能性のある後遺障害について解説します。
圧迫骨折
圧迫骨折とは、強い外力によって骨と骨が圧迫される形で潰れてしまう骨折のことをいいます。頸椎や腰椎で生じ、車に乗車中の事故でも生じることがあります。
圧迫骨折となってしまった場合には、基本的には骨癒合したとしても痛み等の症状が残ってしまうため、圧迫骨折したことが画像上判断できれば後遺障害等級が認定されます。
機能障害
機能障害とは、骨癒合が不良であったりした場合に、関節の可動域が制限されることに対する後遺障害のことです。
指や上肢、下肢の3大関節に可動域制限が生じることが多いです。
可動域制限の認定方法は、健側と比べて、どの程度制限が生じているかによって判定がされます。なお、健側も制限が生じている場合には、一般的な参考可動域と比べて制限が生じているかどうかを判断することになります。
変形癒合
これは、骨が変形して癒合してしまっていることに対する後遺障害です。基本的には、変形癒合しているだけでは後遺障害として認定されず、そのために痛みが生じている場合や、変形癒合していることが裸体になった場合に明らかに判別できる場合に後遺障害として認定されます。
神経症状
これは、骨折部位に痛みやしびれが残っているという後遺障害のことです。骨折した場合でも、基本的に神経症状で認定されるのは14級ですが、変形癒合等を伴っており、痛みが医学的に証明可能であれば、12級が認定されることもあります。
骨折した場合に慰謝料以外に請求できる損害賠償項目
骨折した場合には、慰謝料以外にも請求できる損害賠償項目は多岐にわたります。この章では、特に請求することの多い2つの項目について解説します。
休業損害
休業損害とは、骨折の治療のために仕事を休み、給料が得られなかったことに対する賠償のことです。これは、休業のほかに有給取得日も休業日数に含めますが、代休は休業日数には含めません。
会社員の場合
会社員の場合には、会社に休業損害証明書を作成してもらって休業損害を請求していきます。
会社員の場合の休業損害の計算方法は以下の通りです
日額×休業日数
日額は、事故前3か月分の給料を90で割った金額で算出します。
主婦(主夫)の場合
主夫の場合でも、他人のために家事労働をしていることについて経済的価値があると判断され、家事ができなかったことについて休業損害を請求することができます。
主婦の場合には、どこかから給料をもらっているわけでもないので、日額は、事故前年度の賃金センサスの女性全年齢計学歴計の年収を365で割って算出します。
休業日数については、通院日数を休業日数として計算する方法もありますが、実際には通院していても家事の一部を行うことは可能だと判断されますし、逆に通院していなくても痛み等のせいで家事に影響も生じていることから、怪我の程度から家事への影響割合を仮定して、逓減方式で算定することもあります。
計算例)通院期間60日。うち初めの30日の家事への支障割合が70%、残りの30日が40%と仮定した場合
(日額×30日×70%)+(日額×30日×40%)
なお、主婦の休業損害については算定が難しいので、弁護士に相談してみるのがいいでしょう。
自営業者の場合
休業日数が争点になりやすいですが、通常は、日額は事故前年度の確定申告書の申告所得を365で割って算出し、休業日数は、通院日や、売上帳等から休業日数を特定して算定するなどします。また、事故前3年分の平均所得と事故当年の所得を比べて、その差額分を休業損害として算定したりもします。
アルバイト・パートの場合
この場合も、勤務先に休業損害証明書を作成してもらって休業したことを主張していきます。もっとも、この場合に日額を90日で割って算出すると金額が低くなってしまうので、時給×1日の勤務時間、等によって日額を算定したりします。
後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、怪我の後遺症が残った場合に、その怪我のために将来の労働能力に影響が生じ、そのために将来獲得できる賃金が下がることに対する損害賠償のことです。
逸失利益は、自賠責保険による後遺障害等級の認定がされた場合に、その認定された等級に応じて請求できるものとなっています。
計算式)
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
という計算式によって逸失利益は計算されます。
基礎収入
基礎収入は、原則として事故前年度の年収を用います。会社員なら源泉徴収票によって確認し、自営業者なら確定申告書の所得金額、主婦なら事故前年度の賃金センサスの女性平均賃金です。
労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺障害が労働に与える影響のことです。実際には後遺障害によりどれくらい労働に影響が出るのか算定することが困難であるため、後遺障害等級に応じて、参考となる労働能力喪失率が決められており、それに従って労働能力喪失率を決めます。
労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失期間とは、後遺障害が仕事に影響を及ぼす期間のことです。本来なら定年とか終身雇用、再就職などもありますが、実務では原則として症状固定時の年齢から67歳までの年数を労働能力喪失期間としています。なお、高齢者の場合には、平均余命の2分の1の期間を労働能力喪失期間とすることもあります。
ライプニッツ係数とは、本来なら毎年受け取るはずの逸失利益を先に一括で受け取ることで、その金額に対する利息分被害者が得をするので、それを調整するための係数のことです。現行民法では、利息が3%としてライプニッツ係数を計算することになります。
交通事故で骨折した場合に適切に賠償金を獲得するためにやるべき2つのこと
交通事故で骨折してしまった場合でも、適切に対応しなければ適切な賠償金を受け取ることはできません。この章では適切に賠償金を受け取るためにやっておくべき2つのことを解説します。
適宜画像を撮影する
骨折の場合には、画像から骨折が判別できるかや、治療過程における、骨折の状況が慰謝料等の算定において重要となります。
したがって、受傷の初期だけでなく、適宜レントゲン撮影を行って治療経過を記録するようにしましょう。
しっかりとリハビリ通院する
骨折の場合には、高頻度で通院する必要はありませんが、通院頻度が少なすぎると慰謝料の算定の点で不利になってしまうこともあります。したがって、医師と相談のうえ適切な頻度で通院するようにしましょう。
交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!
交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。
そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。
したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
交通事故では弁護士に示談交渉を依頼するメリットが大きい
弁護士に示談交渉を依頼すると、保険会社との交渉を弁護士にすべて任せることができるため、交渉に対する心理的ストレスから解放されます。また、慰謝料について保険会社が採用している基準と弁護士が使用する基準では金額が大きく異なり、弁護士に交渉を依頼した方が最終的に受け取れる示談金も多くなります。
よって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
法律事務所Lapinが選ばれる理由!
弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。
法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。
また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。
法律事務所Lapinでは弁護士費用特約も利用可能!
自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません。
法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
交通事故で骨折してしまった場合の慰謝料や適切な賠償金を受け取る方法が理解できましたでしょうか。
骨折の場合には後遺障害が残ってしまうこともありますし、適切に通院していないと慰謝料を低く見積もられてしまう可能性もあります。
骨折の場合には賠償金が高額になる可能性もありますので、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
投稿者プロフィール
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法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。
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