交通事故で5か月通院!慰謝料の相場と増額するための注意点を解説
「交通事故で5か月通院すると慰謝料どれくらいもらえるのだろう」
「もうちょっと通院したいがなんとかならないのか」
「痛みがまだ残っているが、後遺障害の認定がされるのだろうか」
上記のような疑問はありませんか。
実は、交通事故の慰謝料は通院期間によってある程度の相場が決まっていますが、相場通りの慰謝料を獲得できる方法を知っていなければ、満足のいく慰謝料を獲得することはできません。
また、通院を終了しても痛みが残っている場合には後遺障害の申請を行えますが、後遺障害等級が認定されるかどうかは通院期間によっても異なります。
この記事では、交通事故で通院5か月した場合の慰謝料の相場、交通事故の慰謝料の3つの算定基準、交通事故で慰謝料を増額するための2つの注意点、痛みが残っている場合の後遺障害の申請について解説しています。
この記事でわかること
- 交通事故で通院5か月した場合の慰謝料の相場
- 交通事故の慰謝料の3つの算定基準
- 交通事故で慰謝料を増額するための2つの注意点
- 痛みが残っている場合の後遺障害の申請
目次
交通事故で5か月通院した場合の慰謝料の相場
交通事故で5か月通院した場合の慰謝料の相場は通院状況や怪我の状況によって異なります。
この章では、5か月程度通院が必要な傷病である、むち打ち症や骨折した場合の慰謝料の相場について解説します。
むち打ち症の場合
むち打ち症とは、いわゆる首の捻挫であり、首の痛みや体のしびれ、頭痛や耳鳴りなども伴うことがあります。
むち打ち症の治療期間の目安は3か月~6か月なので、5か月程度通院することもよくあります。
むち打ち症で5か月通院した場合の慰謝料の相場は、自賠責基準で60万円、弁護士基準で79万円となります。
もっとも、自賠責保険は保障上限金額が120万円であり、治療費等も含めて120万円ですので、慰謝料が計算通りもらえるわけではありません。
むちうちで5か月通院した場合の 慰謝料の相場 | |
自賠責基準 | 60万円 |
弁護士基準 | 79万円 |
骨折した場合
骨折した場合には、基本的には仮骨が形成されるまで経過観察し、骨がある程度形成された後にリハビリを行うことになります。
したがって、骨折から回復するまでには通常は半年程度かかるケースが多いです。
交通事故で骨折して5か月通院した場合の慰謝料の相場は、自賠責基準で60万円、弁護士基準で105万円となります。
骨折で5か月通院した場合の 慰謝料の相場 | |
自賠責基準 | 60万円 |
弁護士基準 | 105万円 |
交通事故の慰謝料の計算方法
交通事故の慰謝料の計算方法には金額の低い方から、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準があります。
この章では、各基準での慰謝料の計算方法を解説します。
自賠責基準 | 強制加入保険である自賠責保険が定める基準 一番金額が低くなる |
任意保険基準 | 任意保険基準が独自に定めている基準 自賠責基準よりは少し高いが、弁護士基準よりは低い |
弁護士基準 | 裁判所が採用している基準 一番金額が高くなる |
自賠責基準
自賠責基準とは、強制加入である自賠責保険において適用される基準のことです。
これは最低限の保険であるので、補償内容も最低額となっており、3つの基準の中では金額が一番低くなっています。
自賠責基準での慰謝料の計算方法は、①通院期間と、②通院日数の2倍を比較し、低い方を基準として日額4300円(令和2年4月1日以降に発生した事故に対する金額。それ以前の事故なら4200円)をかけることによって計算されます。
計算式)
①or②×4300円
よって、通院期間が5か月(150日)通院日数が50日の場合には、①150日>②100日=50日×2となるため、100日×4300円=43万0000円が慰謝料の金額となります。
任意保険基準
任意保険基準は公表されていませんが、各任意保険会社が所内で独自に決めている基準となります。
基本的には、自賠責基準よりも高く、弁護士基準よりも低い金額となっています。
弁護士基準
弁護士基準は裁判した場合に裁判所が認定する金額のことで、弁護士が示談交渉する際には、この基準をベースに慰謝料の交渉を行います。
基本的には、ほかの2つの基準よりも金額が高くなります。
具体的には、下記の表によって慰謝料を算定しており、骨折等の他覚所見がある場合には別表Ⅰ、むち打ち等の他覚所見がない場合には別表Ⅱを用います。
例えば、むちうちで5か月通院した場合には、他覚所見がないので別表Ⅱを用いて、慰謝料は79万円となります。
交通事故で慰謝料を増額するための2つの注意点
交通事故で適当に5か月通院したとしても、相場通りの慰謝料を受け取ることはできません。
慰謝料を相場通り受け取るためには通院段階から注意すべきことがあります。
この章では、もらえる慰謝料を増額するための2つの注意点について解説します。
しっかりと通院する
例えば、むち打ち症と診断されたような場合には、怪我が軽いからといって医師の指示通りに通院せず、月に1,2回しか通院しない人もいます。
もっとも、通院回数が少ないと、自賠責基準では上記の②である通院日数×2×4300円で慰謝料が計算されることになり、相場通りの慰謝料を受け取ることができません。
例えば、5か月通院しても通院日数が10日の場合には自賠責基準での慰謝料は、10日×2×4300円=8万6000円となります。
また、弁護士基準でも、通院期間に比して通院回数が少ない場合には通院回数の3倍を基準として慰謝料が算定されることもあります。
したがって、怪我の程度が軽いからといって通院を疎かにすることなく、しっかりと病院に通院するようにしましょう。
弁護士に示談交渉を依頼する
慰謝料の計算基準は上記のように3つありますが、個人で保険会社と交渉している場合には、基本的には自賠責基準か任意保険基準での慰謝料ベースでしか示談金の提案はされません。
もっとも、弁護士に示談交渉を依頼すれば、弁護士基準ベースで慰謝料を交渉してくれますので、慰謝料をしっかりと受け取りたい場合には弁護士に示談交渉を依頼するようにしましょう。
5か月通院してもまだ痛みが残っている場合には後遺障害の申請を検討
治療を終了しても後遺症が残っている場合には、自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定申請を行うことができます。
自賠責保険では、被害者に残存している後遺障害が後遺障害等級に認定するかどうかの判断がなされます。
後遺障害が残っているとしても、この自賠責保険の後遺障害等級認定基準に合致していなければ、後遺障害とは認定されず、後遺障害が残っていることに対する補償も得ることができません。
5か月も通院してもまだ痛みやしびれが残っている場合には、その痛みやしびれは後遺障害として、生涯に渡り残存する可能性があります。
この章では、5か月通院してもまだ痛みが残存している場合の対応を解説します。
できればもう1か月通院する
5か月通院してもまだ痛みが残存している場合には、その痛み等が後遺障害等級として認定される可能性があります。
もっとも、痛み等で後遺障害等級が認定されるためには、通院がある程度の期間継続しており、それでもなお後遺障害が残ってしまっていることが認定のための判断材料とされています。
そして、その通院期間の目安としては半年間の通院が目安とされています。
したがって、5か月通院してもまだ痛みが残存している場合には後遺障害等級の認定を受けられる可能性がありますが、より認定の可能性を上げるためにはあと1か月通院した方がいいといえるでしょう。
後遺障害の申請も弁護士に依頼しよう
後遺障害等級認定申請の方法としては、加害者側の保険会社に任せる事前認定と、被害者が申請を行う被害者請求の2通りがあります。
もっとも、保険会社に任せる方法だとどの資料を提出するかも不透明であり、必要最低限の資料の他に被害者に有利な資料を追加提出するというようなこともできません。
したがって、後遺障害の申請は被害者請求の方法で申請するようにしましょう。
もっとも、被害者個人で申請することは困難ですので、被害者請求も弁護士に依頼して進めてもらうようにしましょう。
後遺障害等級が認定された場合の賠償
後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、治療を継続したけれども後遺障害が残ってしまったことに対する慰謝料のことです。
後遺障害については、治療終了時(症状固定時)に残っている症状について自賠責保険会社が後遺障害等級に該当するかどうか審査を行い、後遺障害認定要件に該当すると判断された場合に後遺障害等級として認定してもらえます。
後遺障害等級は重い方から1級から14級まであり、後遺障害慰謝料の金額は弁護士基準で以下の通りです。
後遺障害逸失利益
逸失利益とは、怪我の後遺症が残った場合に、その怪我のために将来の労働能力に影響が生じ、そのために将来獲得できる賃金が下がることに対する損害賠償のことです。
逸失利益は、自賠責保険による後遺障害等級の認定がされた場合に、その認定された等級に応じて請求できるものとなっています。
計算式)
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
という計算式によって逸失利益は計算されます。
なお、逸失利益の計算については、下記の記事でも解説しています。
基礎収入
基礎収入は、原則として事故前年度の年収を使います。
会社員なら源泉徴収票に記載されている金額、自営業者なら確定申告の申告所得、主婦なら賃金センサスの平均賃金のことです。
労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺障害が労働に与える影響のことです。
実際には後遺障害によりどれくらい労働に影響が出るのか算定することが困難であるため、後遺障害等級に応じて、参考となる労働能力喪失率が決められており、それに従って労働能力喪失率を決めます。
労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失期間とは、後遺障害が仕事に影響を及ぼす期間のことです。
実務では原則として症状固定時の年齢から67歳までの年数を労働能力喪失期間としています。
なお、高齢者の場合には、平均余命の2分の1の期間を労働能力喪失期間とすることもあります。
また、むち打ち症等の神経症状で後遺障害等級が認定された場合には、14級の場合には5年、12級の場合には10年に労働能力喪失期間が制限されます。
ライプニッツ係数とは、本来なら毎年受け取るはずの逸失利益を先に一括で受け取ることで、その金額に対する利息分被害者が得をするので、それを調整するための係数のことです。
現行民法では、利息が3%としてライプニッツ係数を計算することになります。
交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!
交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。
したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
法律事務所Lapinが選ばれる理由!
弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。
法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。
また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。
弁護士費用については、弁護士費用特約に加入されている方は、基本的に自己負担0円です。
なお、弁護士費用特約に加入されていない方も、弁護士報酬は基本的に成功報酬制なので、今お金がなくても安心してご依頼いただけます。
まとめ
いかがだったでしょうか。5か月通院した場合の慰謝料の相場が理解できましたでしょうか。
慰謝料を相場通りの慰謝料を受け取るためには、弁護士に示談交渉を依頼するのが一番いい方法となります。
ご自身の保険で弁護士費用特約が使用できる場合には、基本的に自己負担なく弁護士に示談交渉を依頼することができますので、弁護士に示談交渉を依頼して相場通りの慰謝料を獲得するようにしましょう。
また、5か月通院してもなお痛み等が残存している場合には後遺障害の申請も検討するようにしましょう。
投稿者プロフィール
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法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。
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