むちうちの逸失利益は制限される?14級と12級の場合について解説

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むちうちで後遺障害等級が認定された場合に、逸失利益が制限されると言われていませんか。

後遺障害逸失利益とは、後遺障害により将来の仕事に影響が生じ、そのために収入が減少することに対する賠償のことです。もっとも、むちうちで後遺障害等級が認定された場合には、逸失利益が制限される傾向にあります。

この記事では、後遺障害逸失利益の計算方法や、むちうちの場合にどの程度逸失利益が制限されるのかについて解説しています。

この記事でわかること

  • 後遺障害逸失利益の計算方法
  • むちうちの場合の労働能力喪失期間
  • 労働能力喪失期間を制限した裁判例

後遺障害逸失利益とは

疑問

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残存することにより、将来の仕事に影響が生じ、そのために収入が減少することに対する賠償のことです。

これは、後遺障害が残存し、自賠責保険等によって後遺障害等級が認定されている場合に請求することができます。

後遺障害等級が認定されている場合には、ほかに後遺障害慰謝料も請求することができます。

後遺障害逸失利益の計算方法

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後遺障害逸失利益は以下の計算式で算定します。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

この章では、逸失利益の各項目について解説しています。

基礎収入

基礎収入は原則として事故時前年度の年収をもとに算定します。

会社員の場合は源泉徴収票、個人事業主なら確定申告書を参考にします。

なお、主婦の場合には賃金センサスの女性の平均賃金を参考にしたりします。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害が将来の仕事に影響を与える割合のことです。

この影響が生じる分、収入が減少するとして逸失利益を請求できます。

労働能力喪失率は、労働能力喪失率表を参考に

  • 被害者の職業
  • 年齢
  • 性別
  • 後遺障害の部位、程度
  • 事故前後の稼働状況

を総合的に考慮して決定することになっています。

もっとも、基本的には労働能力喪失率表の労働能力喪失率を算定の根拠としていることが多いです。

労働能力喪失率

労働能力喪失期間

これは、後遺障害が労働能力に影響を与える期間のことです。

後遺障害が認定される場合には、生涯にわたって後遺障害が残るとされますが、就労している期間は決まっていますので、基本的には、67歳までの期間とされています。

なお、高齢者の場合には、平均余命の2分の1の期間と67歳までの期間を比べて、長い方が労働能力喪失期間となります。

後遺障害逸失利益の期間については以下の記事でも解説しています。

逸失利益の期間とは?14級の場合や、学生、幼児、高齢者の場合も解説

交通事故により後遺障害が認定された場合には、後遺障害逸失利益を請求できます。逸失利益とは後遺障害が労働能力に影響を与える期間に応じて請求できることとなっており…

むちうちの逸失利益は労働能力喪失期間が制限される

むちうちの場合に認定される可能性のある後遺障害等級は以下のような内容です。

後遺障害の認定基準

この場合でも後遺障害は生涯にわたって残ると認定されていますが、神経症状については時間経過によって順化すると考えられているため、労働能力喪失期間は制限されています。

具体的には、12級の場合には10年14級の場合には5年程度に労働能力喪失期間が制限されています。

むちうちで逸失利益の期間が制限された裁判例

むちうちの場合には、後遺障害が認定されたとしても後遺障害逸失利益の期間は制限されてしまいます。

この章では、むちうちの場合に労働能力喪失期間が制限された裁判例を紹介します。

腰椎捻挫で14級が認定された主婦につき、労働能力喪失期間を5年とした

腰椎捻挫(腰椎椎間板ヘルニア)等の傷害を負った症状固定時30歳の主婦の後遺障害につき、以下のように判事して5年間の労働能力喪失を認めた。(神戸地判平成13.9.5)

「腰椎椎間板ヘルニアは通常は短期間(3か月程度)で軽快するものであり、長期間改善が認められない場合には、発症後の椎間板の退行変化や日常生活上の何らかの要因等が原因となっている可能性があるのであって、当初の発症を誘発した事故の影響は、月日の経過とともに低下しているものと考えられるから・・・、症状固定日から5年間の範囲で逸失利益を認めるのが相当である。」

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交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。

また、後遺障害等級が認定されている場合には、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益など、請求項目も多くなります。

そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。

したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。

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まとめ

いかがだったでしょうか。

むちうちの場合の逸失利益の制限が理解できましたでしょうか。

むちうちの場合には、労働能力喪失期間は12級の場合には10年、14級の場合には5年程度に制限されます。

もっとも、後遺障害等級が認定されている場合には、後遺障害慰謝料も含めて弁護士に依頼することで賠償金の増額が見込めますので、一度は弁護士に相談するようにしましょう。

投稿者プロフィール

弁護士
弁護士 河井浩志
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。