交通事故でPTSDに?適切な慰謝料を獲得する3つの対応を解説
交通事故でPTSDになってしまった。保険会社からはPTSDの治療のための治療費は支払えないと言われているが、PTSDでも治療費を支払ってもらう方法はないのだろうか
PTSDとは、心的外傷後ストレス障害のことをいいます。これは外部的な事象によって心が傷を負い、精神的に障害をきたすことをいいます。交通事故においては、死にも比肩するような重大な交通事故被害に遭った場合にPTSDとなってしまう可能性があります。もっとも、交通事故でPTSDになる人は比較的少ないため、適切な主張ができなければ保険会社から交通事故でPTSDになったことを否定され、治療費や慰謝料が支払ってもらえない可能性があります。
この記事では
- 交通事故でPTSDになる原因
- 交通事故でPTSDになったことを認めてもらう3つの方法
- 交通事故でPTSDになった場合の慰謝料
- 交通事故でPTSDになった場合の後遺障害等級
について解説しています。
この記事を読めば、交通事故とPTSDとの関係性や主張の方法が理解できるでしょう。
目次
PTSDとは
PTSDとは心的外傷後ストレス障害のことです。これは外部的な事象によって心が傷を負い、精神的に障害をきたすことをいいます。
具体的な症状としては
- フラッシュバック(事故の記憶がよみがえること)
- 過覚醒(不眠や動悸、集中力の低下等)
- 回避行動(事故となった原因や事故場所を執拗に避けたりすること)
- 躁鬱状態(ちょっとしたことで精神が不安定になる)
などがあります。
交通事故でPTSDになる原因
PTSDは日常生活ではありえない衝撃的な出来事を経験することによって発症することがあります。
交通事故でも、軽い事故でなく、重大な怪我を負った場合や九死に一生を得るような経験をした場合にPTSDが発症してしまう可能性があります。
例えば、追突事故のようなものであれば、よっぽどのことがなければPTSDを発症しませんが、意識不明の重体になるような事故であれば、PTSDになる可能性は高いといえるでしょう。
PTSDの治療方法
PTSDは心の病気であるので、心療内科や精神科で治療を行ってもらいます。
基本的にはPTSDとなった原因に対するトラウマを克服するためのカウンセリングのような治療であったり、具体的に生じている症状をおさえるための薬を処方してもらったりなどです。
なお、PTSDの治療は早期に終わるものではなく数か月から数年かかるケースもあります。
交通事故でPTSDになったことを認めてもらう3つの方法
交通事故でPTSDになる方は比較的少ないため、加害者の保険会社が交通事故とPTSDとの間の因果関係を否定し、PTSDのための治療費や慰謝料の支払いを否定してくるケースが多いです。
ここでは、保険会社に因果関係を認めてもらうための3つの方法を解説します。
早期に受診する
PTSDの症状は、怪我のように外傷として生じないため、症状が発症したことを自覚するまで時間がかかります。
もっとも、交通事故被害とPTSDのための治療開始までの時間が経てば経つほど、交通事故とPTSDとの間の因果関係が否定されることになってしまいます。
したがって、PTSDの症状が出た場合には、できるだけ早く心療内科ないし精神科に通院し、医師からPTSDの診断を受けるようにしましょう。
そして、自覚症状は医師にしっかりと伝えるようにしましょう。
事故の状況を立証する
交通事故被害に遭った場合にどんな場合でもPTSDになるわけではなく、重大な事故に遭った場合に初めて交通事故によってPTSDが発症したと認定してもらえます。
したがって、交通事故がどれくらい大きな事故であったのかを主張立証する必要があります。
事故の大きさを立証するための資料としては、車やバイクが損傷している画像やドライブレコーダーの映像、実況見分調書や怪我の診断書などがあります。
PTSDになる他の要因がないことを主張する
PTSDは何も交通事故のみによって発症するものではなく、日常生活の中でショックを受けるような出来事があった場合にも発症する可能性があります。したがって、被害者がPTSDを発症する他の事情がなかったことも主張する必要があります。
例えば、仕事や日常生活でショックとなるような出来事がなかったことなどです。
逆に、これらのことがあると、PTSDの症状は、交通事故以外の原因で発症したものと認定される可能性もあります。
交通事故でPTSDになった場合の慰謝料
交通事故でPTSDになったことが認められた場合には、PTSDの治療期間に応じた慰謝料を請求することができます。
もっとも、慰謝料の算定基準には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つあり、その基準ごとにもらえる慰謝料の金額が異なります。
自賠責基準
自賠責基準の慰謝料の計算方法は、①通院期間と、②通院日数の2倍を比べて、どちらか低い方を基準として、①or②×4300円によって算定します(令和2年4月1日以降の事故の場合です。それ以前の事故の場合には4200円となります)。
例えば、180日間通院し、実際の通院日数が50日だった場合には、①180日<②100日となるので、100日×4300円=43万円が慰謝料の金額となります。
なお、任意保険基準は公表されていませんが、自賠責基準より金額が高く、弁護士基準より金額は低くなっています。
弁護士基準
弁護士基準の場合には慰謝料は通院期間によって下記の表から算定します。慰謝料算定表には、骨折等の他覚所見がある場合に使用する別表Ⅰと、むち打ち等の他覚所見がない場合に使用する別表Ⅱがありますが、PTSDの場合には基本的には他覚所見がないため別表Ⅱを使用します。
交通事故でPTSDになった場合の後遺障害等級
交通事故でPTSDになってしまい、医師の治療によっても症状が改善せず症状固定となった場合には、残った後遺症の程度によって後遺障害等級が認定される可能性もあります。
具体的には以下のような後遺障害等級が認定される可能性があります。
もっとも、適切な後遺障害等級を獲得するためには、治療段階から後遺障害獲得のための適切な治療を受けておく必要があります。
また、後遺障害の申請のための資料収集も難しいため、重度のPTSDの症状が残っており後遺障害が残る可能性があるなら、早期に弁護士に相談するようにしましょう。
後遺障害等級が認定された場合には後遺障害慰謝料を請求できる
自賠責保険会社によって後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害慰謝料を請求することができます。
後遺障害慰謝料にも、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準がありますが、弁護士基準の後遺障害慰謝料の金額は以下のとおりです。
交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!
交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切にPTSDの症状や、治療の必要性などを主張しなければ、治療費を支払ってもらえない、慰謝料を請求できないなどの不利益を被ってしまいます。そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。
したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
交通事故では弁護士に示談交渉を依頼するメリットが大きい
弁護士に示談交渉を依頼すると、保険会社との交渉を弁護士にすべて任せることができるため、交渉に対する心理的ストレスから解放されます。また、慰謝料について保険会社が採用している基準と弁護士が使用する基準では金額が大きく異なり、弁護士に交渉を依頼した方が最終的に受け取れる示談金も多くなります。
よって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
法律事務所Lapinが選ばれる理由!
弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。
法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。
また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。
法律事務所Lapinでは弁護士費用特約も利用可能!
自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません。
法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。交通事故でPTSDになった場合の対応がわかりましたでしょうか。
まとめると、交通事故でPTSDになったと認めてもらう方法としては
- 早期に受診する
- 事故の状況を立証する
- PTSDになる他の要因がないことを主張する
ということが重要です。
なお、交通事故でPTSDになったと認められるかどうかによって、治療費や慰謝料を請求できるかも決まってきますので、不安があれば一度弁護士に相談してみた方がいいでしょう。
投稿者プロフィール
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法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。
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