交通事故の腰痛でもらえる慰謝料の相場と認定される後遺障害等級

腰痛

車に乗車中に追突事故の被害に遭うと、腰痛が生じることがあります。このように交通事故で腰痛になってしまった場合には、その治療期間に応じて慰謝料を請求することができます。もっとも、適切に対応や交渉をしなければ適切な慰謝料を獲得することはできませんし、持病で腰痛がある場合には損害賠償額にも影響してきます。

この記事では

  • 交通事故で腰痛になった場合の治療期間の目安
  • 認定される可能性のある後遺障害等級
  • 腰痛でもらえる慰謝料の相場
  • 腰痛の持病がある方の賠償金への影響
  • 腰痛で適切な賠償金を獲得するための3つのポイント

について解説しています。

この記事を読めば、交通事故で腰痛になった場合の対応が理解できるでしょう

交通事故で腰痛が生じたときの通院期間の目安

腰痛で通院

交通事故で腰痛になった場合には、しっかりと整形外科に通院しましょう。そして、腰痛の場合には「腰椎ねんざ」や「腰椎打撲」「腰椎椎間板ヘルニア」などと診断されることになりますが、通院期間の目安としては、1か月から3か月程度で終了することが多いです。もっとも、事故が重大な事故であったり、ヘルニアを発症してしまった場合には、半年以上通院するケースもあります。

交通事故での腰痛が治らない場合に認定される可能性のある後遺障害等級

交通事故の腰痛で半年程度通院したけれども痛みが一向に引かない場合には、後遺障害として腰痛が残存してしまう可能性が高いです。その場合には、自賠責保険会社に対して後遺障害等級の認定申請を行うことができます。

腰痛の場合に認定される後遺障害等級は以下のとおりです。

後遺障害の認定基準

14級は通院期間や治療内容、事故状況等の諸般の事情を考慮し、神経症状が医学的に説明可能かどうかによって判断されます。12級は、14級の要件に加え、画像所見や検査所見等の他覚所見によって神経症状が医学的に証明可能かどうかによって判断されます。

後遺障害慰謝料

上記のような後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料を請求することができます。そして、後遺傷害慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがありますが、一番高額となる弁護士基準の金額は以下の通りです。

後遺障害の慰謝料

後遺障害逸失利益

逸失利益とは、後遺障害のために将来の仕事に支障が生じ、そのために将来の収入が減少する可能性があることに対する損害賠償のことです。

これは以下の計算式によって算定します。

式)

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

基礎収入は、原則として事故前年度の年収を参照します。

労働能力喪失率とは、後遺症によってどの程度仕事に支障が生じるかを定めたものになります。

労働能力喪失率

労働能力喪失期間とは、後遺障害が労働能力に影響する期間のことであり、通常は67歳までの期間のことをいいます。もっとも、腰痛のような神経症状の場合には、時間経過により症状が順化し、労働能力に影響が出なくなると考えられていることから、14級の場合は5年、12級の場合には10年程度に限定されています。

例えば、年収600万円の人が交通事故によって腰痛の後遺障害が残り、後遺障害等級14級に認定された場合の後遺障害逸失利益は

600万円×5%×4.58=137万4000円

となります。

交通事故の腰痛でもらえる慰謝料の相場

相場

交通事故で腰痛になって病院に通院している場合には、後遺症が残らなくても、怪我をしたことに対する慰謝料を請求することができます。もっとも、どの程度の精神的苦痛が生じたかはわからないため、通院期間や通院回数に応じて慰謝料の金額は計算されています。

自賠責基準の場合

自賠責基準の場合には、①通院期間と、②通院日数の2倍を比較し、低い方を基準として日額4300円(令和2年4月1日以降に発生した事故に対する金額。それ以前の事故なら4200円)をかけることによって計算されます。

計算式)

①or②×4300円

例えば、腰痛で2か月通院し、通院回数は15回だった場合には、①60>②30(15×2)なので、少ない方の②30を基準に、30×4300円=12万9000円が慰謝料の金額となります。

なお、任意保険基準は、自賠責基準よりは高く、弁護士基準よりは低い金額であると言われています。

弁護士基準

弁護士基準は、訴訟した場合に裁判所で認定される金額で、裁判基準ともいわれています。これは、基本的には通院期間によって、下記の表で算定することになります。なお、腰痛のような他覚所見がない症状の場合には、2つめの別表Ⅱを用いて算定します。

慰謝料
慰謝料

腰痛の持病がある方が事故によって悪化した場合の賠償金への影響

事故前から腰痛の持病があったり、腰椎椎間板ヘルニアの持病があり、それが事故によって悪化した場合でも慰謝料等を請求することはできます。もっとも、この場合には、被害者の方にも持病という疾患があり、それが損害の拡大に影響していると言えるため、「素因減額」がされてしまいます。これは、過失相殺と同じような考えで、損害の発生について被害者も影響しているので、全損害額のうち●%は加害者に請求できなくなる、というものです。

保険会社から素因減額の主張をされた場合には、専門的知識がなければそれに反論することは難しいため、弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故の腰痛で適切な賠償金を獲得するための3つのポイント

ビジネスウーマン

交通事故でもらえる慰謝料等については理解できたかと思いますが、交通事故被害に遭ってから示談交渉までにも適切な対応をしていなければ、適切な賠償金を獲得することはできません。

この章では、腰痛で適切な賠償金を獲得する3つのポイントについて解説します。

しっかりと通院する

交通事故の慰謝料は、通院期間や回数によって金額が変わってきます。腰痛だからといって通院を疎かにしていると、適切な慰謝料を獲得できません

もっとも、慰謝料目的で頻繁に通院していいわけではありませんので、医師と相談のうえしっかりと通院するようにしましょう。

なお、通院先として整骨院を選択する方もいますが、整骨院は医師ではなく、柔道整復師が行う施術になりますので、治療ではないとして施術費を保険会社が支払ってくれないこともあるので注意してください。

弁護士に示談交渉を依頼する

しっかりと通院して、適切な慰謝料の計算ができるとしても、自賠責基準で慰謝料を計算されると意味がありません。もっとも、被害者の方が直接保険会社と示談交渉しても弁護士基準で慰謝料を獲得することは難しいです。弁護士であれば、保険会社と交渉する際に弁護士基準ベースで交渉を行いますので、獲得できる慰謝料が高くなる傾向にあります。

したがって、慰謝料を弁護士基準で獲得するためにも弁護士に示談交渉を依頼するようにしましょう。

治療を終了しても痛みがあるなら後遺障害の申請を行う

半年程度治療を続けても痛みが続くようであれば、後遺障害の申請を行いましょう。後遺障害の申請を行っていなければ、後遺障害が残っていることに対する賠償金を受け取ることはできません。

後遺障害の申請方法は、保険会社に任せる方法と、弁護士や被害者本人が行う方法がありますが、どうすればいいかは弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!

交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。

そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。

したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。

弁護士に任せる

交通事故では弁護士に示談交渉を依頼するメリットが大きい

弁護士に示談交渉を依頼すると、保険会社との交渉を弁護士にすべて任せることができるため、交渉に対する心理的ストレスから解放されます。また、慰謝料について保険会社が採用している基準と弁護士が使用する基準では金額が大きく異なり、弁護士に交渉を依頼した方が最終的に受け取れる示談金も多くなります。

よって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。

法律事務所Lapinが選ばれる理由!

弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。

法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。

また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。

法律事務所Lapinでは弁護士費用特約も利用可能!

自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません

法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

交通事故で腰痛になった場合の慰謝料や通院期間、後遺障害について理解できましたでしょうか。

腰痛だからと言って通院を怠っていると適切な慰謝料を獲得することはできません。また、慰謝料を弁護士基準で獲得するためには弁護士に示談交渉を依頼するのが一番ですので、まずは示談金が適切かどうか弁護士に相談するようにしましょう。

投稿者プロフィール

弁護士
弁護士 河井浩志
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。