不貞慰謝料と離婚慰謝料は違う?両者の金額の相場や請求方法を解説

不貞慰謝料

配偶者の不貞行為が原因で離婚することになった場合には、不貞行為の慰謝料離婚の慰謝料の2つの慰謝料を請求する余地があります。

もっとも、両者は厳密には異なる慰謝料であり、配偶者に請求する場合と不貞相手に請求する場合で、請求の可否や金額等が異なってきます。

この記事では、不貞慰謝料と離婚慰謝料の違い、両者の金額の相場、二重請求できるのか、請求方法、慰謝料を増額する2つのポイントについて解説しています。

この記事でわかること

  • 不貞慰謝料と離婚慰謝料の違い
  • 金額の相場
  • 二重請求できるのか
  • 慰謝料を増額する2つのポイント

不貞慰謝料と離婚慰謝料とは

配偶者の不貞行為が原因で離婚することとなった場合には、不貞慰謝料と離婚慰謝料の2種類の慰謝料を請求する余地があります。

不貞慰謝料とは、不貞行為を行い、それによって精神的苦痛を負ったことに対する慰謝料の事です。

これは離婚しない場合でも請求することができます。

離婚慰謝料とは、離婚原因を作った側が、離婚に伴い相手に生じた精神的苦痛に対する慰謝料のことです。

これは離婚する場合にのみ請求することができます。

このように、両慰謝料は異なるものでありますが、通常は配偶者に離婚慰謝料を請求する場合には不貞慰謝料も含めた請求となることが多いです。

不貞慰謝料不貞行為によって精神的苦痛を負ったことに対する慰謝料
離婚慰謝料離婚に伴い相手に生じた精神的苦痛に対する慰謝料

不貞相手には原則として離婚慰謝料を請求できない

泣き寝入り

不貞行為は、2人で行うものですので、慰謝料は不貞配偶者及び相手方に請求することができます。

では、不貞行為が原因で離婚することとなった場合に、不貞相手に対して離婚慰謝料を請求できるのかが問題となりますが、
最高裁は「夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者が当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべき」と判断し、不貞相手に対する離婚慰謝料の請求は、特段の事情がある場合にのみ認めると判断しました(最高裁平成31年2月19日判決)。

したがって、不貞行為が原因で離婚するとしても、不貞相手に対しては原則として不貞慰謝料のみ請求でき、離婚したことについては、慰謝料の事情の一要素として主張することとなります。

不貞慰謝料と離婚慰謝料の金額の相場

相場

慰謝料については、過去の裁判例の蓄積によってある程度の相場が決まっています。

この章では、両慰謝料の相場について解説します。

不貞慰謝料

不貞慰謝料の相場は50万円~300万円といわれています。

具体的には、行為の内容であったり、発覚後の婚姻関係の悪化の程度などからどの程度精神的苦痛が生じたのかを考慮して判断されます。

なお、不貞行為を行っていた期間であったり、両者の関係、妊娠の有無や不貞行為発覚後の対応等によっては相場以上の慰謝料を請求できる場合もあります。

離婚慰謝料

配偶者の不貞行為のみが原因で離婚する場合の慰謝料の相場は100万円~300万円といわれています。

もっとも、不貞行為を行っていた期間や婚姻期間との比率、不貞行為発覚後の対応や子供の有無・年齢によって相場よりも多くの慰謝料を請求できる場合もあります。

不貞慰謝料と離婚慰謝料を二重に請求できるか

不貞慰謝料と離婚慰謝料は別の慰謝料ですが、これらの慰謝料を同一人に二重に請求することは難しいです。

不貞相手については、不貞慰謝料の請求は認められるものの、離婚慰謝料については、平成31年最高裁判決により「特段の事情」がなければ請求ができないとされています。

不貞配偶者については、基本的には離婚慰謝料を請求することとなり、その中で不貞慰謝料についても考慮されることとなります。

よって、同一人に対して2つの慰謝料を請求することは難しいと言えるでしょう。

なお、不貞相手には不貞慰謝料、不貞配偶者には離婚慰謝料を請求するということは可能です。

不貞慰謝料と離婚慰謝料の請求方法

不貞慰謝料や離婚慰謝料の請求の流れは以下の通りです。

慰謝料請求の流れ

  1. 不貞行為が発覚すると、まずは責任追及するための証拠を収集するようにしましょう。
  2. 証拠があつまれば、不貞慰謝料の請求を行いましょう。請求相手は不貞相手ないし配偶者であり、電話ないし書面で請求するようにしましょう。
  3. 交渉によって解決するなら、示談書を作成するようにしましょう。示談が決裂するようなら、不貞慰謝料を訴訟によって請求していく必要があります。

なお、離婚についての話もまとまらない場合には、配偶者に対する離婚慰謝料は、離婚に関する調停の中で話し合うのがいいでしょう。

慰謝料を増額する2つのポイント

上記では、不貞慰謝料や離婚慰謝料の一般的な相場を解説しましたが、具体的な内容次第では、相場よりも多くの慰謝料を獲得することができるケースもあります。

この章では、慰謝料を増額するための2つのポイントについて解説します。

行為の回数、期間、婚姻期間に占める割合

慰謝料とは精神的苦痛に対する賠償のことですので、精神的苦痛が増大するような事情があれば、慰謝料を相場よりも多く獲得することができます。

具体的には、不貞行為の回数や期間などです。

そして、離婚慰謝料については、婚姻期間と不貞行為を行っていた期間を比較して、婚姻期間の大半について不貞行為を行っていたのなら、精神的苦痛が増大するとして、相場よりも高い慰謝料を請求することができます。

発覚後の対応

不貞行為が発覚した後の、不貞配偶者ないし不貞相手の行動によっては精神的苦痛が増大するため慰謝料を相場よりも多く請求できます。

例えば、不貞行為が発覚した後も連絡を取っていたり、再度不貞行為を行っていたり、不貞の証拠があるにも関わらず不貞行為を否認しており反省していない、というようなケースです。

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弁護士に任せる

不貞慰謝料を請求する場合には、必要な証拠を準備したり、相手方と交渉したりなど個人の方で行うには負担が大きくなります。

また、不貞慰謝料を請求されている場合には、請求のことを考えて精神的に不安になったり、相手方が感情的になって慰謝料減額の交渉が難しいなど、個人で対応していくのは限界があります。

したがって、不貞慰謝料については弁護士に依頼した方がいいでしょう。

法律事務所Lapinでは、不貞慰謝料について精通した弁護士が、不貞慰謝料請求や、慰謝料の減額交渉を行わせていただきます。

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まとめ

いかがだったでしょうか。

不貞慰謝料や離婚慰謝料について理解できましたでしょうか。

不貞慰謝料や離婚慰謝料については相場もある程度決まっていますが、不貞行為の内容であったり、不貞行為発覚後の対応次第では、相場よりも多くの慰謝料を請求できるケースもあります。

また、配偶者の不貞行為が原因として離婚する場合には、財産分与や年金分割、子供がいる場合には親権や養育費、面会交流等、慰謝料以外にも決めるべきことが多数あります。

これらすべてを個人で適切に対応していくのは困難ですので、一度は弁護士に相談するようにしましょう。

投稿者プロフィール

弁護士
弁護士 河井浩志
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。