公務員は逸失利益が認められない?認められる3つのケースと考慮要素

悩む男性

交通事故で後遺障害等級が認定されたが、保険会社から「公務員なので逸失利益は認められない」と言われてしまった。公務員なら後遺障害逸失利益を請求できないのだろうか・・・

交通事故で後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。もっとも、公務員の場合には、減収がないことを理由に保険会社が後遺障害逸失利益を否定することがよくあります。ただ、公務員であっても、場合によっては後遺障害逸失利益を請求できるケースもあります

この記事では、公務員が後遺障害逸失利益を請求できない理由、公務員でも後遺障害逸失利益が認められるケース、公務員が後遺障害逸失利益を請求する際の計算方法と考慮要素、公務員について逸失利益を認定した裁判例等について解説しています。

この記事を読めば、公務員でも後遺障害逸失利益を請求できるケースが理解できるでしょう。

この記事でわかること

  • 公務員の逸失利益が認められない理由
  • 公務員でも逸失利益を請求できる3つのケース
  • 公務員が逸失利益を請求する際の計算方法と考慮要素
  • 公務員について逸失利益を認定した裁判例

公務員の逸失利益が認められない理由

悩む男性

逸失利益とは、後遺障害が残ってしまったために将来の仕事に影響が生じ、そのために将来得られる給料が減少してしまうことに対する賠償のことです。

公務員の場合には、地位や給料が法律によって保障されており、後遺障害が残ったとしても減収がないために、将来の給料の減少の可能性がないとして、後遺障害逸失利益の請求が否定されることがあります。

なお、死亡逸失利益については、請求することが可能です。

公務員でも逸失利益が認められる3つのケース

公務員は減収の可能性がないとしても、後遺障害によって仕事に一定の支障が生じている場合があり、そのために減収の可能性があれば後遺障害逸失利益を請求できます。

この章では、公務員でも後遺障害逸失利益を請求できる可能性のある3つのケースを解説します。

  1. 降格し減収が生じている
  2. 自身の特別の努力や周囲の協力により減収無し
  3. 定年退職後の再就職への影響

降格し減収が生じている

後遺障害のせいで事故前に就いていた仕事ができなくなり、そのために地位が降格し減収が生じている場合には、公務員であっても後遺障害による減収ありとして後遺障害逸失利益を請求できます。

その場合には、後遺障害によって以前の仕事ができなくなったこと、そのために降格し減収が生じていること、を主張立証していくことになります。

主張すべきこと

  • 後遺障害によって以前の仕事ができなくなったこと
  • 降格したこと
  • 減収が生じていること

自身の特別の努力や周囲の協力により減収無し

事故後も以前と同様の職に就いており降格や減収も生じていないが、それが自身の特別の努力によるものであったり、周囲の協力によるものである場合には、そのような特別の努力をしなければ減収が生じる可能性があるとして、後遺障害逸失利益を請求できます

この場合には、自身の職務の内容や、自身の特別の努力や周囲の協力の状況などを主張立証していくことになります。

主張すべきこと

  • 後遺障害によって仕事に影響が生じていること
  • 自身の職務の内容
  • 自身の特別な努力や周囲の協力により仕事が維持できていること

定年退職後の再就職への影響

公務員の定年は満60歳になった日以後の最初の3月31日となっています。

そして、公務員の場合にはその後民間企業に再就職することが多いです。

もっとも、後遺障害が残存していると、再就職が困難になってしまうこともあります。

したがって、60歳までは身分保障がされているとして後遺障害逸失利益が認められなくとも、60歳以降の分は後遺障害逸失利益が請求できる可能性が高いです。

定年退職後の後遺障害逸失利益を請求していく際の計算式としては以下のようになります。

計算式) 基礎収入×労働能力喪失率×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数-60歳までの期間に対応するライプニッツ係数)

公務員が逸失利益を請求する際の計算方法と考慮要素

公務員の後遺障害逸失利益は以下の計算式によって算定します。

計算式) 基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

基礎収入は、事故前年度の源泉徴収票の金額を参照します。

労働能力喪失率とは、後遺障害によってどの程度仕事に支障が生じるかの割合のことであり、基本手金は以下の表の数値を参照します。

労働能力喪失率

労働能力喪失期間とは、後遺障害が労働能力に影響を与える期間のことです。

そして、公務員が後遺障害逸失利益を請求していく際には、以下の事情が考慮要素とされています。

  • 後遺障害の部位・程度
  • 業務への支障
  • 減収・降格の有無
  • 退職・転職・再就職の可能性

後遺障害の部位・程度

後遺障害の部位やその程度が、業務に与える影響が大きければ後遺障害逸失利益を請求するための有利な事情となります。

逆に、後遺障害の等級が低かったり、部位などが業務に影響を与えないものであれば、後遺障害逸失利益を否定する事情となります。

業務への支障

後遺障害が業務にどの程度影響を与えているかです。

また、業務に影響がなくても、自身の特別の努力や周囲の協力によって事故前と同様の業務を行えるようになっている場合には、後遺障害逸失利益を請求するための有利な事情になります。

減収・降格の有無

実際に業務に支障が生じ、減収・降格が生じているかです。

基本的には、これが認められると後遺障害逸失利益を請求できることになります。

退職・転職・再就職の可能性

これは、後遺障害が原因で退職していたり、転職活動をしていたのにこれができなくなったり、定年退職後の再就職が困難になったか否かです。

これらの事情があれば、後遺障害逸失利益を請求するための有利な事情となります。

公務員について逸失利益を認定した裁判例

裁判

この章では、公務員について逸失利益を認定した裁判例を紹介します。

地方公務員43歳女性の例

地方公務員(女性、症状固定時43歳、後遺障害等級2級)につき、復職し職場の上司及び同僚の配慮を受けて重大な支障は生じていないこと、基本給は減少していないが残業に伴う収入を得ていないこと、現在の勤務先を退職後の再就職の可能性は低いことから、事故前年収637万円余を基礎に67歳まで60%の労働能力喪失を認めた(熊本地判平成25.3.26)。

公務員54歳男性の例

公務員(男性、症状固定時54歳、後遺障害等級12級)につき、痛みの我慢、慎重な歩行や運転操作を行うことを心掛けることにより業務の支障が生じないよう努力しているものと認められ、そのことが減収を食い止めている面も否定できないし、後遺障害の内容等に照らせば、定年退職後に高収入の転職を試みた場合、本件後遺障害が不利益をもたらす可能性があるとして、症状固定時収入を基礎として14年間14%の労働能力喪失を認めた(大阪高判平成31.1.22)。

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弁護士に任せる

交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。

また、後遺障害等級が認定されている場合には、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益など、請求項目も多くなります。

そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。

したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。

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法律事務所Lapinでは弁護士費用特約も利用可能!

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自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません

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まとめ

いかがだったでしょうか。

公務員の後遺障害逸失利益の請求について理解できましたでしょうか。

まとめると

  • 減収・降格が生じている場合
  • 自身の特別の努力や周囲の協力によって仕事を続けている場合
  • 定年退職後の再就職に影響がある場合

には、後遺障害逸失利益を請求することが可能となります。

もっとも、保険会社は基本的には公務員であることを理由に後遺障害逸失利益を否定する傾向にありますので、後遺障害等級が認定されている場合には、一度は弁護士に相談するようにしましょう。

投稿者プロフィール

弁護士
弁護士 河井浩志
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。