交通事故で脳に後遺症が!認定される後遺障害等級と賠償金を解説

寝たきり

交通事故で脳にダメージを負い、意識不明となってしまったような場合には、意識不明から回復しても脳に後遺症が残ってしまうことがあります。

そして、脳に後遺症が残ってしまった場合には、日常生活にも多大なる支障が生じます。また、後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの賠償で、賠償金は数千万円にも上ります。

この記事では

  • 脳にダメージを負った場合に残る可能性のある後遺障害
  • 残った症状ごとの後遺障害等級
  • 後遺症が残った場合に請求できる賠償金の内訳

について解説しています。

交通事故で脳にダメージを負った場合に残る可能性のある後遺障害

医師の説明

歩行者や自転車、バイクに乗車中に交通事故に遭うと、地面や車に頭を強打して脳にダメージを負い意識不明となってしまうことがあります。この場合には、脳挫傷や脳震盪、出血がある場合には外傷性クモ膜下出血等と診断を受けることがあります。

脳は人の体をコントロールしている器官ですので、脳にダメージを負うことにより、さまざまな後遺症が残る可能性があります。

残る可能性のある後遺症としては

  • 高次脳機能障害
  • 外傷性てんかん
  • 遷延性意識障害

などがあります。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、事故によって脳に外傷が生じた場合に、回復過程において生じる認知機能や人格変化等の症状のために、就労や生活の制限、社会復帰が困難となる障害を総称するもののことです。

高次脳機能障害の場合には、以下のような後遺障害等級が認定される可能性があります。

高次脳機能障害の後遺障害

外傷性てんかん

てんかんとは、てんかん発作を繰り返す病気の総称のことであり、外傷によって脳の中枢神経が損傷したことを原因として発生するてんかんのことを外傷性てんかんといいます。

症状としては

  • けいれん発作
  • 意識消失
  • 全身の筋肉の硬直

などがあります。

外傷性てんかんの症状が残ってしまった場合には、以下のような後遺障害等級に該当する可能性があります。

てんかんの後遺障害

遷延性意識障害とは

遷延性意識障害とは、脳挫傷等の頭部の外傷により、脊髄反射以外の反応が一切ない昏睡状態となってしまうことです。要するに「植物状態」といわれている状態のことを指します。

この診断は、3か月以上に渡り

  • 自力移動不能
  • 自力摂食不能
  • 糞便失禁状態
  • 意味のある発語不能
  • 簡単な従命以上の意思疎通不能
  • 追視あるいは認識不能

の6項目を満たす状態にあると認定された場合に、遷延性意識障害の診断がなされます。

遷延性意識障害となった場合には、基本的には常時介護を要するものとして、後遺障害等級第1級1号に認定されます。

脳に後遺症が残った場合に請求できる損害賠償額の内訳

相場

脳に後遺症が残った場合には、請求できる損害賠償項目も多岐にわたります。この章では金額が大きくなる4つの項目について解説します。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

交通事故で怪我を負ったことに対する慰謝料です。これは、交通事故に遭ったことに対する精神的苦痛を賠償するものですが、入院期間や通院期間によって形式的に算定されます。弁護士基準の場合には、下記の2つの表のどちらかを使って算定しますが、脳に後遺症が残るほどの傷害を負った場合には、1つめの別表Ⅰを用いて算定します。

慰謝料
慰謝料

例えば、交通事故で1か月入院し、その後8か月通院して症状が固定した場合の傷害慰謝料は、164万円となります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことに対する慰謝料のことです。これは、残った後遺障害に対して自賠責保険会社から後遺障害等級の認定を受けた場合に請求することができます。

後遺障害慰謝料の弁護士基準の金額は以下の通りです。

後遺障害の慰謝料

後遺障害逸失利益

逸失利益とは、後遺障害のために将来の労働能力に影響が生じ、そのために将来獲得できる賃金が下がることに対する損害賠償のことです。

逸失利益は、自賠責保険による後遺障害等級の認定がされた場合に、その認定された等級に応じて請求できるものとなっています。

計算式)

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

という計算式によって逸失利益は計算されます。

そして、基礎収入は基本的には事故前年度の年収を用い、労働能力喪失率は下記の表を参考にして算定されます。

労働能力喪失率

労働能力喪失期間とは、後遺障害が仕事に影響を及ぼす期間のことです。本来なら定年とか終身雇用、再就職などもありますが、実務では原則として症状固定時の年齢から67歳までの年数を労働能力喪失期間としています。なお、高齢者の

場合には、平均余命の2分の1の期間を労働能力喪失期間とすることもあります。

ライプニッツ係数とは、本来なら毎年受け取るはずの逸失利益を先に一括で受け取ることで、その金額に対する利息分被害者が得をするので、それを調整するための係数のことです。現行民法では、利息が3%としてライプニッツ係数を計算することになります。

例えば、40歳で年収500万円の人が高次脳機能障害により後遺障害等級第1級と認定された場合の逸失利益は

500万円×100%×18.327(27年に相当するライプニッツ係数)=9163万5000円

となります。

ここに、後遺障害等級第1級の場合の後遺障害慰謝料2800万円を足すと、もらえる示談金は1億円を超えてきます

将来介護費

介護

将来介護費とは、症状固定後にかかる介護費のことです。

これも、毎年発生する介護費を事前に一括で受け取ることから、ライプニッツ係数が関係してきます。

式)

1年間の介護費×平均余命に対応するライプニッツ係数

となります。

なお、介護費の算定は、職業介護(施設介護)を用いるか、自宅介護で親族の方が介護するかによって金額が異なってきます。

交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!

2つの選択肢

交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。脳に後遺症が残った場合には、賠償金の額も数千万円を超えることが見込まれますので、弁護士に依頼した方がいいでしょう。

交通事故では弁護士に示談交渉を依頼するメリットが大きい

弁護士に示談交渉を依頼すると、保険会社との交渉を弁護士にすべて任せることができるため、交渉に対する心理的ストレスから解放されます。また、慰謝料について保険会社が採用している基準と弁護士が使用する基準では金額が大きく異なり、弁護士に交渉を依頼した方が最終的に受け取れる示談金も多くなります。

よって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。

交通事故の示談交渉を依頼するメリットについては、以下の記事で解説しています。

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法律事務所Lapinが選ばれる理由!

弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。

法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。

また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。

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自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません

法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

脳に後遺症が残った場合の後遺障害等級や損害賠償額がわかりましたでしょうか。

脳に後遺症が残った場合には

  • 高次脳機能障害
  • 外傷性てんかん
  • 遷延性意識障害

などの後遺症が残る可能性があり、後遺障害等級が認定された場合には賠償金が数千万円を超えるケースもあります。

また、賠償項目もかなり多岐に上りますので、弁護士に示談交渉を依頼した方がいいでしょう。

投稿者プロフィール

弁護士
弁護士 河井浩志
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。