逸失利益算定の労働能力喪失率とは?計算方法や基本割合を解説
交通事故で後遺障害等級が認定されたが、逸失利益をどうやって計算するか疑問ではありませんか。
後遺障害逸失利益の計算方法は決まっています。その中でも、労働能力喪失率は後遺障害等級に応じて基本割合がある程度決まっています。
この記事では、後遺障害逸失利益の計算方法と基本の労働能力喪失率、労働能力喪失率が限定されやすい後遺障害、基本と異なる労働能力喪失率を認定した裁判例について解説しています。
この記事を読めば、後遺障害逸失利益の労働能力喪失率が理解できるでしょう。
この記事でわかること
- 後遺障害逸失利益の計算方法
- 基本の労働能力喪失率
- 労働能力喪失率が限定されやすい後遺障害
- 基本と異なる労働能力喪失率を認定した裁判例
目次
後遺障害逸失利益の計算方法!労働能力喪失率とは
後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって仕事に支障が生じ、将来の収入が減少することに対する賠償のことです。
後遺障害逸失利益は、以下の計算式によって算定します。
計算式) 基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
このうち、労働能力喪失率とは、後遺障害が仕事に及ぼす影響割合のことです。
例えば、労働能力喪失率が30%だとすると、後遺障害が将来の仕事に及ぼす影響が30%で本来の稼働能力の70%しか出せなくなるとして、現状もらっている賃金が30%減少すると考え、それに対して後遺障害逸失利益として賠償されることになります。
なお、後遺障害逸失利益は、現在仕事をしていない学生や無職の方、主婦についても請求できます。
具体的には、こちらの記事で解説していますので、ご参照ください。
労働能力喪失率の決め方
労働能力喪失率は、労働能力喪失率表を参考に
- 被害者の職業
- 年齢
- 性別
- 後遺症の部位
- 程度
- 事故前後の稼働状況
を総合的に考慮して決定することになっています。
もっとも、基本的には下記の労働能力喪失率表の労働能力喪失率を算定の根拠としていることが多いです。
労働能力喪失率が限定されやすい後遺障害
労働能力喪失率は基本的には上記表のとおりの喪失率が認定されることが多いですが、後遺障害の内容によっては、労働能力喪失率が限定されることが多いものもあります。
この章では、労働能力喪失率が限定されやすい3つの後遺症について解説します。
- 外貌醜状
- 変形障害
- 臓器の障害
外貌醜状
これは、顔や露出部に、傷跡ややけど痕が残ったことの後遺障害です。
外貌醜状については、見た目だけの後遺症であり、手足などの労働力には影響が生じないことから、労働能力喪失率が低く認定され、特に12級の場合には後遺障害逸失利益そのものが否定されることもあります。
もっとも、外貌醜状であっても、職種によっては仕事がしづらくなり、将来の仕事に影響が生じる場合もあります。
外貌醜状で適切に後遺障害逸失利益を獲得するためには、外貌醜状が被害者の職業にどの程度影響があるのかを具体的に主張立証していくことになります。
変形障害
これは、脊柱の圧迫骨折などによる脊柱の変形や、鎖骨骨折による鎖骨の変形等、骨折により骨が変形癒合したことに対する後遺障害です。
これについても、骨が変形しているものの具体的症状がなく、労働能力に影響がないとして、労働能力喪失率が低く認定されることがあります。
もっとも、骨が変形してしまっているために、手足が動かしづらくなっていたり、痛みや違和感があったりなどして、労働能力に影響が生じる場合もあります。
変形障害で適切な後遺障害逸失利益を獲得するためには、変形によって生じている神経症状等を後遺障害として認めてもらう必要があります。
臓器の傷害
これは、交通事故によって臓器が損傷し、臓器の機能に影響が生じていることに対する障害です。
臓器に障害が生じていても労働能力に影響が生じないことも多いので、労働能力喪失率が低く認定されることが多いです。
これについては、臓器の機能の低下によって日常生活や仕事にどのような影響が生じる可能性があるのかを主張立証していくことになります。
基本と異なる労働能力喪失率が認定された裁判例
この章では、基本と異なる労働能力喪失率が認定された裁判例を紹介します。
開業医につき12級で18%を認定
開業医につき、外傷性の耳鳴り、左上肢の麻痺・脱力感・両手のしびれ等の上司症状、頸椎捻挫などについて12級相当と認定し、18%の労働能力喪失率を認めた(大阪地判令2.11.14)
パイロットにつき、14級で7%を認定
パイロットの外傷性頸性頭痛等につき、多数の人命を預かる職務であることや、後遺障害は気圧の変化の影響を受けやすく集中力や緊張感を要する職務への影響が小さくないことから、労働能力喪失率7%を認めた(東京地判平29.9.27)。
会社員につき、12級で20%を認定
会社員の左足関節機能障害、複視につき、左目周辺の痛み、眼精疲労、左目流涙症、左目周囲不快感の症状が残り、パソコン操作や自動車運転がしづらい等の種々の支障が生じていることから、20%の労働能力喪失率を認めた(名古屋地判平19.9.21)。
交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!
交通事故で後遺障害が残ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。
そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、逸失利益の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。
したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
交通事故では弁護士に示談交渉を依頼するメリットが大きい
弁護士に示談交渉を依頼すると、保険会社との交渉を弁護士にすべて任せることができるため、交渉に対する心理的ストレスから解放されます。また、慰謝料について保険会社が採用している基準と弁護士が使用する基準では金額が大きく異なり、弁護士に交渉を依頼した方が最終的に受け取れる示談金も多くなります。
よって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
法律事務所Lapinが選ばれる理由!
弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。
法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。
また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。
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自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません。
法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
後遺障害逸失利益の労働能力喪失率が理解できましたでしょうか。
基本的には、労働能力喪失率が制限されるような症状でなければ、労働能力喪失率表のとおりの労働能力喪失率が認定されます。
もっとも、保険会社と交渉する際には、これよりも低い労働能力喪失率が主張されることが予想されますし、慰謝料等も含めると、弁護士に依頼するメリットは大きくなりますので、一度は弁護士に相談するようにしましょう。
投稿者プロフィール
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法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。
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