【弁護士解説】交通事故の示談とは?流れや注意点、進まない時の対応も解説
交通事故の示談とは何か、示談までの流れや期間が疑問ではありませんか。
交通事故の被害に遭うと、被害者は加害者に対して損害賠償請求することができます。この損害賠償請求の方法には裁判を利用する方法などいくつかありますが、その中の一つが示談交渉で解決する方法です。交通事故の場合には、ほとんどがこの示談によって解決しています。そして、交通事故では示談までの流れはある程度決まっており、それを知らなければ示談をうまく進めることができません。時には、示談の流れを知らないせいで、何十万円も示談金で損してしまうケースもあります。
この記事では
- 交通事故の示談とは何か
- 交通事故の示談までの流れと期間
- 交通事故の示談において注意すべき4つの点
- 交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する2つのメリット
について解説しています。
この記事を読めば、交通事故の示談とは何か、示談する際の注意点等についても理解できるでしょう。
目次
交通事故の示談とは訴訟外の和解のこと
示談とは、裁判外の手続で行われる和解のことであり、交通事故の紛争についてお互いに譲歩しあい、解決することをいいます。
交通事故においては、被害者の方が加害者に対し損害賠償請求権を有しており、これに対して加害者が被害者にいくらの金銭を支払うのかを決めるための方法が示談交渉となっています。
簡単に言うと、加害者が被害者にいくら支払うのかを決める手続となります。
そして、加害者が任意保険に加入している場合には、被害者と加害者の加入している保険会社が示談交渉を行うことになります。
なお、示談以外の解決手段として、ADRや調停、訴訟などがありますが、交通事故の大多数は示談によって解決しています
交通事故の示談までの流れと期間
交通事故が発生してから、示談が成立し、示談金が入金されるまでは、以下のような流れで進みます。
交通事故の示談交渉は、被害者の怪我の治療が終了してから開始されます。通常は、示談交渉は1か月から2か月かかります。示談が成立して示談書(免責証書)の取り交わし後、1週間~2週間で示談金が入金がされます。
したがって、交通事故の示談金が入金されるのは、基本的には交通事故の治療が終了してからとなり、事故発生から数か月はかかります。また、症状が重ければ、事故発生から示談金を受け取るまでに1年以上かかるケースもあります。
なお、交通事故が発生してから示談成立までの目安については、こちらの記事でも解説しています。
交通事故の示談において注意すべき4つの点
交通事故の示談成立までは上記のような流れで進みますが、示談交渉を始める段階や、それまでにも注意すべき点がいくつかあります。この章では、交通事故の示談において特に注意しておいた方がいい4つの点について解説します。
示談交渉は損害賠償の内容がすべてわかってから行う
交通事故の示談は、加害者の方が被害者に対し、いくらの賠償金を支払うのか最終的に決める手続となっています。損害賠償項目ごとに示談を行うことも可能ですが(「一部示談」等といいます)、これだと加害者側はいつまで賠償金を支払えばいいのかわからないですし、被害者側としても示談書の文言に注意する必要があるので、通常は全項目について一度に示談を行います。また、治療が終了し、損害項目がすべてわかってから示談交渉を行わないと、請求漏れが生じることがあります。よって、示談交渉は、緊急でお金に困っているような事情がなければ治療が終了し、損害項目がすべてわかってから行うようにしましょう。
また、損害賠償額がわかってからであれば、賠償項目ごとに柔軟に交渉ができ、示談がスムーズに進む可能性もあります。
なお、交通事故の示談金の内容、損害賠償額の内容については、以下の記事で解説しています。
不当に低い金額で示談しない
示談は交通事故の損害賠償について解決する手続きとなっていますので、一度成立した示談を後から覆すことは困難となっています。
したがって、被害者の方が何も知らずに不当に低い金額で示談してしまったとしても、基本的にはその示談を覆すことができません。
よって、示談の提案を受けた際にも、安易に示談に応じないようにして、不当に低い金額でないかしっかりと調べるようにしましょう。
弁護士に一度も相談していない場合には、一度は弁護士に相談してみた方がいいでしょう。
なお、交通事故の示談金の相場については、以下の記事で解説しています。
相手の保険会社の言いなりにならない
加害者側に保険会社がついている場合には、通常は保険会社主導の元示談交渉が進んでいきます。
もっとも、この場合に保険会社が示談を焦るあまり「この金額は示談金として妥当です」や、「今ならこの金額で示談できるので早くサインしてください」等、あたかも被害者のことを思って示談提案をしてくるケースがあります。
もっとも、保険会社はあくまで「加害者側」の立場の方ですので、安易に保険会社の言いなりにならないようにしましょう。
提示された示談金は不当に低い金額であるケースも多いため、まずは示談金が妥当なのかどうか調べるようにしましょう。
なお、保険会社との示談交渉の交渉術については、以下の記事で解説しています。
時効期間には注意
保険会社からの安易な誘いに注意したり、不当に低い金額で示談しないためにいろいろ調べるあまり、示談交渉を放置して長期間経過してしまうケースがあります。もっとも、示談交渉(損害賠償請求権)には時効があり、交渉を放置してしまっていると時効が完成し、相手に損害賠償請求できなくなる可能性があります。
交通事故の損害賠償請求の時効期間は以下の通りです。
示談交渉が進まない場合の2つの対処法
交通事故で示談交渉をしていても、お互いの意見が一致しなければ示談は進みません。示談が進まない場合には、被害者の方は示談金を受け取れないだけでなく、放置しすぎると時効によってそもそも損害賠償請求できなくなる可能性もあります。
この章では、交通事故の示談交渉が進まなくなった場合の2つの対処法について解説しています。
なお、示談交渉が決裂してしまった場合の対応は、こちらの記事で解説しています。
ADR、調停、訴訟を利用する
示談交渉が進まない場合の被害者の選択肢としては、示談交渉以外の手段で交通事故の損害賠償請求を進める方法があります。
ADRを利用する
加害者が任意保険に加入している場合には、交通事故紛争処理センター等の裁判外紛争処理手続き(ADR)を利用することができます。例えば、交通事故紛争処理センターでは、示談あっせんをする弁護士が、両者の意見を聞き、あっせん案を出してくれるため、交渉がスムーズに進むことになります。
また、ADRは裁判所の手続とは違い、申し立ても比較的簡単に行えますので、被害者自身での対応を考えている方にもお勧めです。
裁判所に調停・訴訟を提起する
示談交渉が進まない場合の最終手段としては、裁判所に調停や訴訟を提起することになります。もっとも、訴訟では、裁判のルールがしっかりと決まっていますし、ADRと違って訴状の作成等、負担も大きいため、被害者自身で対応することはお勧めできません。
弁護士に示談交渉を依頼する
弁護士に示談交渉を依頼すると、示談の相場や交渉をスムーズに進める方法を知っている弁護士が対応することになるので、比較的に示談交渉がスムーズに進みます。
特に、損害内容について両者の主張が異なっている場合や、加害者が保険に入っていない場合などは、弁護士に示談交渉を依頼するのがいいでしょう。
示談交渉が進まない場合の対処法としては一番お勧めです。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する2つのメリット
交通事故の示談交渉では、注意すべき点がいくつもあり、それを交通事故の示談交渉に精通していない被害者の方がすべて把握して対処することは困難です。
したがって、示談交渉は始めから弁護士に依頼して行ってもらうのがいいでしょう。
また、弁護士に示談交渉を依頼すれば、被害者の方が注意すべき点について適切に対応してくれるだけでなく、慰謝料の増額等のメリットもあります。
この章では、弁護士に示談交渉を依頼する2つのメリットを解説します。
なお、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットについては、以下の記事でも解説しています。
保険会社との交渉を全て弁護士が行ってくれる
弁護士に示談交渉を依頼すると、今後は、保険会社から被害者の方に直接連絡が来ることはなく、弁護士が保険会社との示談交渉の一切を行ってくれます。
これにより、保険会社の急な質問に対応する必要もなく、保険会社の言いなりになることもなくなります。
また、いつ保険会社から連絡が来るかもしれないという精神的負担もなくなりますし、保険会社の営業時間中に電話をするために時間を確保するという必要もなくなります。
慰謝料を含めた示談金の増額が期待できる
交通事故の損害賠償額は、各項目について計算基準に従って計算して、その金額の合計が最終的に獲得できる示談金額となります。
この損害賠償額の計算基準には3つの基準があり、金額の低い方から
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
があります。
例えば、後遺障害等級第14級に認定された場合の慰謝料は、自賠責基準では32万円なのに対し、弁護士基準であれば110万円となります。
保険会社が示談提案してくる金額は、自賠責基準ないし任意保険基準を使って計算したものですので、弁護士基準で計算する示談金額よりは低くなっています。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、示談金を弁護士基準ベースで計算して交渉してくれますので、保険会社が提示してくる示談金よりも高額の示談金を獲得することができます。
交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!
交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。
したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
交通事故では弁護士に示談交渉を依頼するメリットが大きい
弁護士に示談交渉を依頼すると、保険会社との交渉を弁護士にすべて任せることができるため、交渉に対する心理的ストレスから解放されます。また、慰謝料について保険会社が採用している基準と弁護士が使用する基準では金額が大きく異なり、弁護士に交渉を依頼した方が最終的に受け取れる示談金も多くなります。
よって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。
法律事務所Lapinが選ばれる理由!
弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。
法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。
また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。
法律事務所Lapinでは弁護士費用特約も利用可能!
自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません。
法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。交通事故の示談の流れや注意点、示談が進まない場合の対処法が理解できましたでしょうか。
示談の注意点をまとめると
- 示談交渉は損害賠償内容がすべてわかってから行う
- 不当に低い金額で示談しない
- 相手の保険会社のいいなりにならない
- 時効期間には注意
となり、示談交渉が進まない場合の対処法としては
- ADR、調停、訴訟を利用
- 弁護士に依頼する
となります。
弁護士に依頼すると、そもそも示談金の増額が見込めますので、示談交渉は弁護士に依頼するようにしましょう。
投稿者プロフィール
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法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。
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