休業損害はいつもらえる?支払時期と早く受け取る4つの方法を解説

待ちぼうけ

交通事故で仕事を休んでいるが、休業損害がいつ頃支払われるか疑問ではありませんか。

実は、休業損害も損害賠償金の一種なので、原則として慰謝料等と一緒に示談時にまとめて支払ってもらうことになります。

もっとも、休業損害がもらえないと毎月の生活費もままならず生活に影響してしまうので、事前に支払ってもらう方法もあります。

この記事では、休業損害とは何か、休業損害の支払時期、休業損害を早く受け取る4つの方法、休業損害の請求方法等を解説しています。

この記事でわかること

  • 休業損害の支払時期
  • 休業損害を早く受け取る4つの方法
  • 【職業別】休業損害の計算方法と請求方法

休業損害とは

悩む

休業損害とは、事故の怪我や通院のために仕事を休み、そのために収入が減少したことに対する賠償のことです。

したがって、休業損害は給料の減少を賠償することが本来の目的であり、減収が生じていない場合には原則として休業損害を請求できません

もっとも、有給休暇を取得した場合主婦であっても休業損害を請求することはできます。

交通事故が発生してから休業損害が支払われるまでの流れ

交通事故が発生してから示談までは、以下のような流れで進みます。

示談の流れ

  1. まずは、交通事故で怪我をしてしまったら病院に通院するようにしましょう。
  2. 通院は、治癒するか、症状固定まで続けるようにしましょう。
  3. 治療が終了すると、損害賠償額を算定できますので、保険会社との示談交渉に移ります。
  4. そして、保険会社と示談が成立すると、示談書を取り交わし、1~2週間程度で示談金が振り込まれます

休業損害もこの損害賠償金の一種ですので、原則として保険会社と示談交渉する中で金額について話し合いを行い、示談成立後に慰謝料等と一緒にまとめて支払われます

休業損害が支払われる時期

  • 原則として治療終了後の示談成立後1~2週間後

休業損害を早く受け取る4つの方法

4つの選択肢

休業損害は、仕事を休み給料が支払われないことに対する賠償のことです。したがって、休業損害をもらえないと生活費が足りなくなり、普段の生活にも影響が生じてしまいます

なので、休業損害については、例外的に示談成立前に支払ってもらうことも可能です。

ここでは、休業損害を早く受け取る4つの方法について解説します。

方法特徴
保険会社と先払いの交渉一番手軽な方法
保険会社の意思による
仮渡金簡易な方法
一時金なのでもらえる金額は小さい
被害者請求手間がかかる方法
もらえる上限金額が決まっている
仮払い仮処分かなり手間がかかる方法
上限はきまっていないが、請求のハードルが高い

保険会社との先払いの交渉

これは、加害者に任意保険会社が担当としてついている場合に採ることのできる手段です。

休業損害も通常は示談成立後にまとめて支払ってもらいますが、生活が苦しいこと等を保険会社に主張して、保険会社に休業損害だけは先払いしてもらう交渉を行うものです。

具体的には、通常の給料の支払いと同様、毎月保険会社に休業損害証明書等の休業損害を証明する資料を提出することによって、毎月休業損害を支払ってもらえる場合があります。

この場合には、月末に資料を提出し、そこから保険会社が審査・計算を行い、1~2週間程度で毎月の休業損害が振り込まれることになります。

休業損害を先払いしてもらう4つの手段のうち、一番簡単かつ一番確実な方法となっています。

なお、休業損害を先に支払ってもらう場合には、先払いをお願いしている関係で休業損害の金額について交渉する余地がないことが多いです。

したがって、先払いしてもらった休業損害の金額が少ない場合には、慰謝料等と一緒に治療終了後の示談交渉時に差額を請求していくようにしましょう。

仮渡金

これは、事故によって働けないなど、被害者の喫緊に必要とする出費に対して速やかに保険金を支払う制度で、傷害の場合には程度に応じて、5万円、20万円、40万円と支払われる金額が決まっています。

これは加害者が加入している自賠責保険会社に対して、以下の資料を提出することによって請求を行います。

  • 仮渡金支払請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 医師の診断書または死体検案書(死亡診断書)
  • 印鑑証明書

被害者請求

これは、加害者が加入している自賠責保険会社に対して、治療費等も含めて自賠責保険の支払いを求めるものです。

これについては、傷害部分の上限額が120万円と決まっており、支払い基準は自賠責基準の金額となります。

加入している自賠責保険会社に対して、以下のような資料を提出することによって請求を行います。

  • 支払請求書
  • 印鑑登録証明書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 医師の診断書や診療報酬明細書等
  • 休業損害証明書

仮払い仮処分

裁判

仮払い仮処分は、裁判所に対し、被害者が生活に困窮していること、及び損害賠償請求訴訟に勝訴することが予想されることを理由に、加害者に対して賠償金の仮払いを求めるものです。

裁判所が仮払いを命じる具体的な金額は、被害者の治療費、被害者の生活費、被害者の貯蓄の有無、治療終了までに見込まれる期間、後遺障害の残存の可能性、過失相殺の有無・程度、すでに受け取っている金額等を考慮して決められます。

仮払い仮処分命令を申し立てるにあたっては、被害者は被保全権利(損害賠償請求権)の存在及び内容(金額)、保全命令の必要性(緊急性)の疎明を行う必要があります。

もっとも、この制度は、裁判での勝訴が実現していない時点で加害者に支払いを命令することになるため、裁判所も慎重に判断する傾向にありますし、裁判手続きを介する点で個人での利用も困難ですので、おすすめはできません。

【職業別】休業損害の計算方法と請求方法

計算方法

休業損害は基本的には以下の計算式で算定します

計算式) 日額×休業日数

そして、これらについては、被害者の方で資料を提出して主張立証していく必要があります。

この章では、職業別に、休業損害の具体的な計算方法や、請求方法を解説します。

会社員

会社員の場合には、勤務先に「休業損害証明書」を記載してもらい、

事故前3か月間の給料÷90×休業日数

という計算式によって休業損害を計算していきます。

休業損害証明書

この休業損害証明書を毎月保険会社に提出することによって、休業損害を毎月支払ってもらうように交渉しましょう。

なお、事故前3か月間の給料には付加給として残業代等も含まれますので、実質的に平均残業代も請求できることになります。

また、有給休暇を使用した場合には、有給休暇を使用した日についても休業損害を請求することができます。

会社員の休業損害については、以下の記事で解説しています。

会社員の休業損害はどれくらいもらえる?計算方法や5つの注意点を解説

交通事故で仕事を休んでしまった場合には会社員は休業損害を請求できます。もっとも、請求方法や請求できる項目は決まっています。この章では、会社員の休業損害の内容や…

個人事業主

個人事業主の場合には、事故前年度の確定申告書を提出し、

(事故前年度の申告所得額+青色申告特別控除額+固定経費)÷365×休業日数

という計算式によって休業損害を算定します。

個人事業主の場合には、会社員のように毎月勤務先に休業損害証明書を記載してもらうこともないので、毎月通院日等には仕事ができなく、減収が生じていると主張して、毎月休業損害を支払ってもらうよう交渉しましょう。

青色申告特別控除額は、税額の計算のために所得から控除されているだけですので、休業損害を算定する際には所得に加算します。

固定経費については、事故によって休業している期間も支出する必要があり出費が無駄になっている部分を休業損害として請求ができるので、所得額にプラスされます。

休業日数は、個人事業主の場合には休業を証明してくれる人がいないので、通院日には休業したものとして通院日を休業日数として計算したりします。

なお、個人事業主の休業損害については、以下の記事で解説しています。

個人事業主でも休業損害はもらえる?注意すべき7つのケース

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主婦

主婦の場合でも、他人のために家事労働を行っていることに価値があるとして、家事ができなかった分休業損害を請求でき、

事故前年度の賃金センサスの女性平均賃金÷365×休業日数

という計算式によって休業損害を算定します。

なお、主婦については、家事ができなくなっても給料がもらえなくなるわけではなく、休業損害を先に支払ってもらわなくても生活に影響がないので、通常通り慰謝料等と一緒に休業損害を支払ってもらうことになります。

主婦については、どこかから賃金をもらっているわけではないので、日額は賃金センサスの女性の学歴計全年齢平均賃金を参考に算定されています。

賃金センサスの女性全年齢平均平均賃金日額
平成30年382万6300円1万0483円
平成31年、令和元年388万0100円1万0630円
令和2年381万9200円1万0463円
令和3年385万9400円1万0574円

休業日数については、個人事業主と同様証明してくれる人がいないので、通院日を休業日数として計算したり、通院していない日にも家事にも影響があるとして、家事への支障割合を算定して逓減方式で計算したりします。

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アルバイト・パート

アルバイト・パートの場合にも、休業損害を請求することができ、勤務先に休業損害証明書を作成してもらって、

事故前3か月間の給料÷90×休業日数

という計算式によって休業損害を算定します。

会社員と同様、この休業損害証明書を毎月保険会社に提出することによって、休業損害を毎月支払ってもらうように交渉しましょう。

もっとも、アルバイト・パートの場合にはフルタイムで勤務していることが少なく、事故前3か月間の給料÷90で日額を算定すると日額が著しく低くなってしまうので、事故前3か月間の給料÷稼働日数で算定したり、時給×1日の平均稼働時間によって日額を算定したりします。

なお、アルバイト・パートの休業損害については、以下の記事で解説しています。

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会社役員

会社員の場合に、休業にも変わらず役員報酬が支払われている場合には休業損害を請求できませんが、役員報酬が支払われなくなった場合には休業損害を請求できます。

もっとも、会社役員の場合には、役員報酬に労務対価部分と利益配当部分が含まれていると考えられ、労務対価部分についてのみ休業損害を請求することができます。

この場合には、勤務先に休業損害証明書を作成してもらい

事故前3か月間の労務対価部分の役員報酬÷90×休業日数

という計算式によって休業損害を算定します。

この休業損害証明書を毎月保険会社に提出することによって、休業損害を毎月支払ってもらうように交渉しましょう。

なお、会社役員の休業損害については、以下の記事で解説しています。

交通事故の休業損害として役員報酬も請求できる?請求できるケースを解説

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無職

無職の場合には、原則として休業損害を請求できません

もっとも、無職であっても、就職活動を行い勤務先に内定していたのに勤務開始が遅れたような場合や、就職活動ができなくなり、就職が遅れたような場合には、休業損害を請求できる余地があります。

この場合には、日額は前職の賃金や内定先の賃金、賃金センサスの平均賃金を用いたりします。

なお、無職者の場合には、もともと賃金をもらっていなかったので、慰謝料等と一緒に休業損害を支払ってもらうことが多いです。

交通事故の相談は法律事務所Lapinへ!

2つの選択肢

交通事故の被害に遭ってしまった場合には、適切な対応を行わなければ、適切な慰謝料を受け取れない、示談金を低く見積もられてしまうなどの不利益を被ってしまいます。

そして、保険会社との交渉では、慰謝料の計算や、その他の損害額の計算、過失割合の交渉など、専門的な知識が求められることになります。

したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。

法律事務所Lapinが選ばれる理由!

弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。

法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。

また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。

法律事務所Lapinでは弁護士費用特約も利用可能!

自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません

法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。休業損害を支払ってもらう時期や、早く受け取る方法が理解できましたでしょうか。

まとめると

  • 休業損害は原則として慰謝料等と一緒に支払われる
  • 休業損害証明書等を毎月提出することにより、毎月支払ってもらうよう交渉の余地あり
  • 自賠責保険会社に対して仮渡金、被害者請求をする方法もあるが金額は限定的
  • 仮払い仮処分は裁判手続きを利用するので、おすすめできない

となります。

なお、休業損害の請求には、保険会社と弁護士で計算基準が異なったり、保険会社と交渉してく必要もあるため、弁護士に1度は相談するようにしましょう。

投稿者プロフィール

弁護士
弁護士 河井浩志
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。