休業損害の計算方法は?職業別の計算方法や満額受け取る3つの方法

計算

交通事故のために仕事を休むことになった。保険会社が休業損害を支払うと言っているがどのように計算されるのだろうか。

交通事故の怪我のためや通院のために仕事を休む場合には、休業損害を請求することができます。そして、休業損害の計算方法も決まっていますが、職業ごとに計算方法が多少異なります。漫然と休業損害を請求するだけでは、休業損害を満額支払ってもらえないかもしれません。

また、休業損害を受け取れる時期もある程度決まっています。

この記事では、休業損害の3つの計算基準、休業損害の計算方法、休業損害を満額支払ってもらう3つの方法、休業損害の請求方法と受け取れる時期等について解説しています。

この記事でわかること

  • 休業損害の3つの計算基準
  • 【職業別】休業損害の計算方法
  • 休業損害を満額支払ってもらう3つの方法
  • 休業損害の請求方法と受け取れる時期

目次

休業損害とは?3つの計算基準

計算基準

休業損害とは、交通事故のために仕事を休み、給料が支払われないことに対する賠償のことです。基本的には、休業のために減収した場合に休業損害を請求できます。

もっとも、有給休暇を取得した場合主婦の場合にも、休業損害を請求できます。

そして、休業損害の算定方法には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。

自賠責基準自賠責保険が採用している基準
3つの基準の中では一番金額が低くなる傾向
任意保険基準各任意保険会社が採用している基準
公表されていないが、自賠責基準より高く弁護士基準より低い
弁護士基準裁判所が採用する基準
3つの基準の中で一番金額が高くなる傾向

自賠責基準

自賠責基準の休業損害の計算方法は下記の計算式によって計算されます。

計算式) 休業日数×6100円

日額については、6100円とされています(事故が令和2年4月1日以降の場合。それ以前の事故は日額5700円)。

主婦や、アルバイトなどにより日額がこれを下回る場合でも、自賠責基準での休業損害の日額は6100円となります

そして、立証資料等により日額が6100円を超えることが明らかな場合には、1万9000円を上限として、その実額が日額となります。

なお、自賠責基準の休業損害の計算方法等については、以下の記事で解説しています。

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ちなみに、以下では弁護士基準の休業損害の計算方法を解説していますが、任意保険基準は自賠責基準よりは高く、弁護士基準よりはかなり低くなっています。

弁護士基準

弁護士基準とは、裁判所が認定する基準でもあり、弁護士が保険会社と交渉する場合には弁護士基準ベースで交渉を進めます。過失割合や職種にもよりますが、弁護士基準で計算した休業損害の金額が一番高くなる傾向にあります。

弁護士基準の休業損害は以下の計算式によって計算します。

計算式) 日額×休業日数

そして、この日額や休業日数については、職業によって計算方法や根拠資料が異なってきます。

【職業別】休業損害の計算方法

2つの選択肢

休業損害の自賠責基準の計算方法は、職業によって異なってきます。

この章では、弁護士基準の休業損害の計算方法を、職業別に解説します。

  • 会社員
  • 個人事業主
  • 主婦
  • パート・アルバイト
  • 会社役員
  • 無職

会社員

会社員の場合には、勤務先に「休業損害証明書」を記載してもらい、

事故前3か月間の給料÷90×休業日数

という計算式によって休業損害を計算します。

休業損害証明書

休業日数については、基本的には休業した日ですが、連続休業している場合には、土日祝日も含めた休業期間によって休業日数を算定する方法もあります。

事故前3か月の給料は、手取り金額ではなく、税引き前の給料を参照します。事故前3か月間の給料には付加給として残業代等も含まれますので、実質的に平均残業代も請求できることになります。

なお、事故前3か月の給料を90日で割った場合に日額が低くなる場合には、事故前3か月の給料を稼働日数で割ることによって日額を算定したりもします。

また、有給休暇を使用した場合には、有給休暇を使用した日についても休業損害を請求することができます。

有給休暇の休業損害については、以下の記事で解説しています。

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賞与の減額があった場合にも休業損害を請求できる

交通事故の怪我のために仕事を休んでいる場合には、評価が下がり次回の賞与が減額となることもあります。

事故のために賞与が減額された場合には、賞与減額分についても休業損害を請求できます。

この場合には、本来の賞与の金額と今回支給された賞与の金額、賞与が減額された理由等を、勤務先に賞与減額証明書に記載してもらい、それを保険会社に提出することによって賞与減額分の休業損害を請求していきます。

賞与減額証明書

なお、賞与減額分の休業損害については、以下の記事でも解説しています。

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個人事業主

個人事業主の場合には、事故前年度の確定申告書を提出し、

(事故前年度の申告所得額+青色申告特別控除額+固定経費)÷365×休業日数

という計算式によって休業損害を算定します。

青色申告特別控除額は、税額の計算のために所得から控除されているだけですので、休業損害を算定する際には所得に加算します。

固定経費については、事故によって休業している期間も支出する必要があり出費が無駄になっている部分を休業損害として請求ができるので、所得額にプラスされます。

もっとも、何が固定経費として加算できるのかについては、職種や従業員数によっても異なります。

休業日数は、個人事業主の場合には休業を証明してくれる人がいないので、通院日には休業したものとして通院日を休業日数として計算したりします。

また、代替労働を使用した場合には、個人事業主の休業損害の代わりに、代替労働費を休業損害として請求できます。

なお、個人事業主の休業損害については、以下の記事で解説しています。

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主婦

主婦の場合でも、他人のために家事労働を行っていることに価値があるとして、家事ができなかった分休業損害を請求でき、

事故前年度の賃金センサスの女性平均賃金÷365×休業日数

という計算式によって休業損害を算定します。

主婦については、どこかから賃金をもらっているわけではないので、日額は賃金センサスの女性学歴計全年齢の平均賃金を参考に算定されています。

賃金センサスの女性全年齢平均平均賃金日額
平成30年382万6300円1万0483円
平成31年、令和元年388万0100円1万0630円
令和2年381万9200円1万0463円
令和3年385万9400円1万0574円

休業日数については、個人事業主と同様証明してくれる人がいないので、通院日を休業日数として計算したり、通院していない日にも家事にも影響があるとして、家事への支障割合を算定して逓減方式で計算したりします。

なお、主婦の休業損害については、以下の記事でも解説しています。

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兼業主婦でも主婦としての休業損害がもらえる場合がある

会社員やパートとして勤務しつつ家事も行っている兼業主婦についての休業損害は、会社員やパートとしての休業損害の金額と、主婦としての休業損害の金額を比べ、どちらか高い方の休業損害を請求できることとなっています。

したがって、会社員やパートとしてはほとんど休んでおらず休業損害の金額が低い場合には、主婦としての休業損害を請求できる余地があります。

もっとも、この場合には怪我による仕事への影響が少なかったということは家事への影響も少なかっただろうと判断され、専業主婦の休業損害よりも金額を減額される可能性もあります。

なお、兼業主婦の休業損害については、下記の記事でも解説しています。

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アルバイト・パート

アルバイト・パートの場合にも、休業損害を請求することができ、勤務先に休業損害証明書を作成してもらって、

事故前3か月間の給料÷90×休業日数

という計算式によって休業損害を算定します。

もっとも、アルバイト・パートの場合にはフルタイムで勤務していることが少なく、事故前3か月間の給料÷90で日額を算定すると日額が著しく低くなってしまうので、事故前3か月間の給料÷稼働日数で算定したり、時給×1日の平均稼働時間によって日額を算定したりします。

なお、アルバイト・パートの休業損害については、以下の記事で解説しています。

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会社役員

会社員の場合に、休業にも変わらず役員報酬が支払われている場合には休業損害を請求できませんが、役員報酬が支払われなくなった場合には休業損害を請求できます。

もっとも、会社役員の場合には、役員報酬に労務対価部分と利益配当部分が含まれていると考えられ、労務対価部分についてのみ休業損害を請求することができます。

この場合には、勤務先に休業損害証明書を作成してもらい

事故前3か月間の労務対価部分の役員報酬÷90×休業日

という計算式によって休業損害を算定します。

なお、会社役員の休業損害については、以下の記事で解説しています。

交通事故の休業損害として役員報酬も請求できる?請求できるケースを解説

会社役員は従業員とは違い、業務委託契約に基づいて役員報酬が支払われるので、原則として休業損害を請求できません。また、減収があっても、休業損害を請求できる範囲は…

無職

無職の場合には、原則として休業損害を請求できません。

もっとも、無職であっても、就職活動を行い勤務先に内定していたのに勤務開始が遅れたような場合や、就職活動ができなくなり、就職が遅れたような場合には、休業損害を請求できる余地があります。

この場合には、日額は前職の賃金や内定先の賃金、賃金センサスの平均賃金を用いたりします。

休業損害の請求方法と受け取れる時期

ポイント

休業損害を請求するためには、必要書類を被害者が収集し、保険会社に提出する必要があります。

そして、休業損害も損害賠償の一種なので、原則として治療が終了してから保険会社と休業損害の金額について慰謝料等と一緒に示談交渉し、示談が成立したら慰謝料等と一緒に支払ってもらうことになります。

休業損害を請求する際の必要書類

休業損害を請求する際の必要書類についても職業ごとに異なります。

基本的には以下のような資料を収集する必要があります。

会社員
アルバイト・パート
休業損害証明書
源泉徴収票
個人事業主事故前年度の確定申告書
主婦家族構成表or住民票
会社役員休業損害証明書 
事故前年度の確定申告書
無職内定通知書
前職の給料明細等

休業損害は毎月支払ってもらうことも可能

休業損害は、原則として慰謝料等と一緒に支払ってもらうものですが、休業損害がもらえないと生活にも影響してしまいます。

したがって、加害者側に保険会社がついている場合には、保険会社と交渉することにより、事前に支払ってもらうこともできます。この場合には、毎月必要書類を提出することにより、毎月休業損害を受け取ることもできます。

したがって、休業損害を前払いしてほしいなら、保険会社に相談してみるようにしましょう。

なお、休業損害が支払われる時期については、以下の記事でも解説しています。

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休業損害を満額支払ってもらう3つの方法

休業損害を請求できるとしても、保険会社は、自賠責基準や任意保険基準でしか休業損害を支払ってくれず、休業損害の満額を受け取ることはできません。

この章では、休業損害を満額支払ってもらう3つの方法について解説します。

  1. 休業したことの証拠をしっかりと残す
  2. 裁判所に訴訟提起する
  3. 弁護士に示談交渉を依頼する

休業したことの証拠をしっかりと残す

休業損害を請求するためには、休業日数や日額について、被害者の側で主張立証していく必要があります。

特に、個人事業主や主婦の場合には、休業の有無について争点となることも多いです。

したがって、休業していたことや、仕事に支障が生じていたことについて、日記等でもいいので記録に残しておくようにしましょう。

裁判所に訴訟提起する

保険会社と個人で交渉しても、保険会社が自賠責基準や任意保険基準でしか休業損害を支払ってくれなければ、休業損害を満額受け取ることはできません。

この場合には、交渉で休業損害を満額受け取ることはできませんので、ほかの手続によって休業損害を満額支払ってもらう必要があります。

この点につき、裁判所に訴訟提起して、被害者の請求が認められる場合には、弁護士基準の休業損害を受け取ることができます

もっとも、個人で訴訟提起するのは、訴状を作成したり、相手に弁護士が就いて法的な反論をされたり、適切な証拠を提出したりなど、手間がかかるものとなっていますので、おすすめはできません

弁護士に示談交渉を依頼する

個人で保険会社と交渉していても自賠責基準や任意保険基準でしか休業損害を支払ってくれない場合でも、弁護士が交渉することによって弁護士基準の休業損害を支払ってくれることもあります。

また、慰謝料についても、弁護士基準ベースで交渉するので増額が期待できます。

したがって、弁護士に示談交渉を依頼するのが、休業損害を満額獲得するための一番の方法となります。

なお、弁護士費用特約が使用できる場合には、弁護士費用の自己負担は、基本的に0円となりますので、弁護士費用の費用倒れの心配がなくなります。

交通事故の休業損害の相談は法律事務所Lapinへ!

専門家に相談する

交通事故の被害に遭ってしまった場合には、休業損害を請求するための資料収集や、休業損害の計算などなど、専門的な知識が求められることになります。

保険会社の言いなりになっていると、休業損害の計算の点で損してしまうこともあります。

したがって、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼した方がいいでしょう。

法律事務所Lapinが選ばれる理由!

弁護士といっても、交通事故に精通している弁護士や、交通事故案件をあまり担当したことがない弁護士もいます。そして、交通事故の示談交渉では、交通事故の専門的知識や、保険会社との交渉経験等、弁護士においても知識の差によって結果が変わってしまいます。

法律事務所Lapinでは、交通事故の被害者側の依頼を500件以上担当した弁護士が交通事故の示談交渉を対応しますので、交通事故の専門的知識や経験は、他の弁護士に引けを取りません。

また、大手で大量に事件処理を行っている事務所では、事務員が担当として就き、弁護士となかなか話ができないケースもありますが、法律事務所Lapinでは弁護士が依頼者との連絡を行いますので、そのような心配はございません。

法律事務所Lapinでは弁護士費用特約も利用可能!

自身の保険や、ご家族の保険に弁護士費用特約が付帯している場合には、それを利用することによって、基本的に自己負担なく、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼することができます(弁護士費用の300万円まで保険会社が負担するため)。また、弁護士費用特約はノンフリート等級なので、翌年の保険料にも影響はありません。

法律事務所によっては、報酬基準の違いで弁護士費用特約を利用できない場合もありますが、法律事務所Lapinでは基本的に弁護士費用特約を利用してご依頼いただくことが可能です。

まとめ

いかがだったでしょうか。職業別の休業損害の計算方法が理解できましたでしょうか。

休業損害については、保険会社と弁護士で計算方法が異なるので、受け取れる金額も変わってきます。

そして、休業損害を満額受け取るためには、弁護士に示談交渉を依頼するのが一番の方法です。

職種別で計算方法も異なってくるので、休業損害の請求については一度弁護士に相談するようにしましょう。

投稿者プロフィール

弁護士
弁護士 河井浩志
法律事務所Lapin代表弁護士。東京弁護士会所属。
都内大手の法律事務所2か所で勤務し、法律事務所Lapin(ラパン)を開設。依頼者が相談しやすい弁護士であるよう心掛けており、もっぱら被害者の救済のために尽力している。
主な取り扱い分野は、交通事故、相続、離婚、養育費、不貞慰謝料、B型肝炎訴訟、労働問題、削除請求、刑事事件、著作権侵害事件。
特に交通事故については、累計500件以上の解決実績がある。